詩小説

言の葉綾

詩小説1 バースデー・マニア

教室でひとりぼっち

クラスメイトの賑やかな会話に目を細めながら

私はひとり誕生日を迎えた

何も起こらない

授業で指名されることもなければ

予習していなくて焦ることもない

ごく普通のいつもと同じ1日

休み時間眺める景色が

誕生日だから変わるわけでもなくて

クラスメイトから話しかけられるとか

非日常も起こらない

1つ大きくなっても何も変わらない現実が

わかっているけれど少し寂しい

「お誕生日おめでとう」

そう友達に囲まれてみたいな

それはただの承認欲求に過ぎないけれど

夢見ることは悪いことなのかな

ぽつり

今日も1日が終わった

「ねえ」

肩に置かれる1つの感触

振り向いたら

同じクラスの女の子

ちょっと風変わりで何を考えているのかわからない

そんな女の子

「今日誕生日だよね」

その一言で瞼は大きく開く

「おめでとう」

心も体も暖かい温もりに包まれる

今まで友達に言われたことなんてなかったのに

この子は覚えていてくれた

「自己紹介で今日だって言っていたから」

君の一言で私の未来は変わる

「ありがとう」

それは遥か彼方まで

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