第32話
「全然終わんないよ...」
補修で渡された問題が全く進まずに、教室で頭を抱えながら時間が経ってしまい、外はもう夕方になってしまった。
「この、問題用紙を提出しなければ帰れない。」
渡される前にそう言われてしまい、帰るに帰れない。
頼りになる、イーナは部活で部活の活動が終わるまでは、手伝ってくれないし、今日は帰れないのではないかと絶望的な状況。
「おや、こんなところで何をしているんだい?」
「ん?」
急に俺の目の前に現れ話しかけてきたのは、生徒会長のテニ―だった。
「どうしたんですか?こんなところに来て。生徒会はどうしたんですか?」
「いや、教室で一人残っている人が居たから気になって声を掛けただけだよ。生徒会は今終わったところさ」
「へえ~」
この人も俺の事のことを見て、からかいにでも来たのだろう。
そう思い、問題を解きながら会話に答えた。
「君はどうして、ここでこんな事をしているんだい?」
「授業中に寝てしまい、補修でこの問題の量に苦戦していると頃です。」
「手伝ってあげようか?」
てっきり、この状況をからかいに来たのかと思ったがどうやら違ったようだ。
むしろ、良い人。
「え、良いんですか?」
「いいよ」
生徒会長であり、王子であるからか頭がいい。
次々に問題の解答と、その解き方を教えてくれる。
たぶんだが、テニ―が居なければ一日はかかっていたであろう問題の多さが、10分足らずで全問題を解き終えた。
「あ、ありがとうございます。」
「いいよ。もし、生徒会に入ればこう言う宿題と手伝ってあげれるけど、生徒会に本当に入らないか?」
まだ、俺を生徒会に入れることを諦めていなかったのか。
もしかして、生徒会に入れたいがために偶然を装ってきたのではないかと疑ってしまう。
しかし、宿題を手伝ってくれるのはかなりデカい。
だけど、エリスが生徒会に居るので生徒会に入るのちょっとはためらう。
「いや、でも...」
「なにか、生徒会に入りたくない事でもあるのか?」
はい、あります。とは言えない。
理由が、あなたの婚約者だって言ったら、エリスや婚約者をバカにされたテニーに何をされるかわからない。もしかしたら、追放かもしれない。だけど、追放ならまだいいが、死刑かもしれない。
なので、理由を言う事は出来ない。
「いや、特に何もないです。俺は平民だし、言葉遣いも何もなっていないので生徒会にはふさわしくないと思うので、生徒会に入る資格が無いのでお断りします」
宿題を見て楽ができるが、生徒会に入ることを断ることにした。
「そんなこと気にしなくていいよ。それに、君が生徒会に入らないと言うなら私はここの教師に頼み宿題を君だけ倍にするよう言うことになるけど....それでも断るかな?」
「え?」
「言葉の通りさ、生徒会に入らないと君がやっている量の倍を宿題として出すよう教員に命令するのさ。」
俺は間違っていた。
最初は、優しそうと思っていた。
補習の問題を手伝ってくれるし、エリスと違って良い奴だと思っていた。
だけど、生徒会に入らない俺が気に食わないのか俺を脅して生徒会に無理やり入れようする。
「うぬぬぬ....」
「さあ、どうするルッチ」
「は、入ります....」
「うん、じゃあこれにサインを」
俺は生徒会長に無理やり生徒会に入るための書類にサインをさせられた。
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