人生のどす黒いのを吐き出したもの

琴乃葉   

第1話

生まれた意味とは何か



私の人生を書き記そう。

私の両親は生まれてすぐ、1997年にどちらも亡くなっている。

理由はおおよそ感づく。自動車事故か火災のどちらかであろう。


そこを今の義理の父親に拾われた。

外見は女性だが彼は母の代わりに整形された一番の被害者とも言える。

死んだ父と母は写真にしか残っていない。


母子手帳には実の母の筆跡が残っている。女の子らしい可愛らしい文字だ。

義理の父は兄でもあり、まあ複雑だという事だけ頭に置いてくれればいい。

義理の父、名前を呼ぶなら仮に龍一と呼ぼう。


彼は亡くなった母の代わりに男の所に嫁いだ。男の名前は順一 私の実の父親の血縁者であった。

幸せな親子に周りからは見えたのかもしれない。しかし実態はあまり良くはなかった―――

昔はよく「パパ」と呼んでいた。

「パパー 抱っこして」

私は義父におぶってもらうのが大好きだった。子供の特権を存分に享受していた。

生まれたばかりであまり覚えていないが、生前の実母の思い出はすっぽり抜けている。

形見は二本の包丁のみ、それ以外は実家にある成人式の写真くらいだろうか。

彼女が龍一にとっても大きな存在なのは確かなようで、未だに彼女の事を必死に忘れないように真似を続けている。

いくら真似ても彼女にはなれないのに。

最近はそれも見ていて痛々しいくらいにはボロが出始めている。


異変に気付いたのは私が小学生に上がった頃だ。

「パパ、最近どうしたんだろうね」

「うーんどうしたんだろうね」

私には3歳違いの血の繋がらない弟が居る。真実を知ると悍ましいが元男性と男性の間に出来た、私が最後まで守り通したい大事な弟。

ハッキリ言ってしまうと創価学会の敬虔な信徒である義理の祖母の影響でどんどん義父である順一の様子がおかしくなっていった。

結婚してからは「創価学会なんてさせないよ」なんて言っていたのも口だけで、

祖母と祖父の言いなりだった義父は人形の様に与えられたロールに従う。

引っ越したばかりで慣れない私に重い石の様に家庭の事情が小さい身体にのしかかった。

千葉の某マンションでの日々は綺羅びやかであったが金銭以外が問題の山積みだった。

義父のおかしな言動と行動に振り回される日々

例を上げるとベランダに芝生を作ろうとする。龍一のカードを勝手に使い借金をする。 2000年代は出会い系詐欺がありまんまとそれに引っかかり借金の上乗せ。

不幸に不幸を上塗りしたような地獄の様な幼少期でした。

そんな中、汚れを知らずに血の繋がらない私を姉と慕ってくれる弟だけは希望でした。 どうかこの子だけはそんなしがらみなく生きてほしい。今でも叶っているかは分からないけど私にとって大事な存在である事にはかわりありません。

私が血の繋がりのないことを確信した出来事が今から話す事です。

「全部龍一が悪いんだ!」

義理の祖父の剣幕で龍一はかなりまいっていた。

そりゃあそうだ。元々男の彼に母の真似事なんて無理な事をさせていて挙句の果てに予想外の出来事の連続。 いい加減にするのはてめーのバカ息子だろと言いたい気持ちを大きく抑えてそれでも私と義弟は母の役割をする龍一の味方であり続けた。

この後の出来事は会話はあまり覚えていないが些細な出来事だった。

「俺の息子だ!」

「私の息子よ!」

弟を引っ張り合っていた。 長女のワタシを差し置いて。

この時確信してしまった。 ああ・・・【ワタシ】はいらない子だって。

私を愛してくれる本当の両親はもう居ないんだなって。

そこからの私の心の崩壊は早かった。

小学生ながらに自殺を思うほどに。

私の寝室は二段ベッドで縄跳びで首をつろうとした。失敗に終わったが。

思いっきり力を込めて首をしめた。 失敗した。

習い事から帰ってくるとまた義父と顔を合わせなきゃ、愛想よくしなきゃ。


【血の繋がらないワタシなんていつでも捨てられる】

そんな恐怖とずっと戦いながらずっと生きてきました。

友達はそんな事情も知らずにみんな優しくしてくれました、しなかった子も居たけど。

例えば、「一緒に遊ぼうよ」と誘ったのに「ごめんね、今日は遊べない」

なんて言ってたのにマンションのエントランスで遊ばれたりとか、仲間はずれにしてきたりとか。 実名を書いて人生メチャクチャにしてやろうと思いつつぐっと我慢。

でもそうやって傷つけたことは本人は覚えてなくてもやられた側には残る事を

忘れないでほしい。

そんな子たちとも引っ越す前には仲直りした子も居た。

未だにプロフィール帳に残っているよ。

地獄のような小学生の人生に一度のピリオドが打たれる。

引っ越しだ。

「今から友達の家の近くに引っ越すから荷物を分割して持ってくよ」

そう言われたので思い出のあるおもちゃは置いて実用的な洋服や本当にお気に入りのぬいぐるみやゲーム機をもって神奈川に逃げた。

幼馴染の男の子と女の子が居てその子達を頼り、イオンやプールがあるなど

引っ越したばかりで分からない私達によくしてくれた。

しかしそれもつかの間、乗ってきた車の所有権が義父にあったので八景で捕まった。事情を説明したら「離婚調停中なので逃げてきました」

と言ったらすぐ了解してくれましたが。

引っ越してからは千葉から来たことでからかわれたりしました。

「なんで千葉ディズニーランドじゃなくて東京なの?」

しらねーよなんて思いつつ。

お前らもいっつも行ってるからお世話にはなってるだろ雌豚共。なーんて思ったり。

ああ・・・この街の人たちも空虚な人達ばっかりだなって印象でした。

東京かぶれで都会人ぶりたい田舎者。本音をぶち撒けるとそんな感じですね。

相変わらずどこの学校にもカースト上位の男も女もろくでなしばっかり。

そんな中で唯一親友と呼べる存在が出来ました。

いわゆるオタクっ子でして、そういう文化に疎い私は彼女と話を合わせたい一心で沢山のアニメや漫画を読んだり見たりしました。

最初は追いつきたい、気に入られたいって気持ちだったのが今ではどっぷりですけど。

小学生の時はよくあるブランド「エンジェルブルー」とか「メゾピアノ」とかああいうお高いブランド服に身を包んでいました。

まあこっちでは「え・・・ なんだあのお嬢様」

なんて思われたみたいですが見てくれだけですよ。

千葉で住んでいた頃はいわゆる義父のステータスで見られていたのが変わった瞬間でもありました。

【ありのままの私】を肯定してくれる存在に出会えた。

私にとってそれは最上の喜びでした。

それは小学5年の出来事。 私の暗い人生の中での光でした。

「・・・のアニメ面白いよね」

「うんそうだね」

くだらない会話もそれはそれで楽しかった。しかし私には少し気に食わない事があった。

いわゆる地元の「この子」を絵画の部門で推そう。という子に選ばれず、

いくらイラストや絵画を描いても評価されなかったこと。

千葉では佳作を取ったりする私がこちらに来たら普通扱い。

自信のあった私の唯一の取り柄を取られた気分だった。


誰も誰も誰も誰も誰も褒めてくれなかった。

じゃあ次は何を褒めてもらおうと思い、歌で誰にも負けないことを目標にした。

歌と音程だけは誰にも負けない。

今でも私の生きる目標だったりする。

誰かに比べられたり、褒めてくれない人なんて嫌い。


私を愛して。


そんな願いをはねのけるように離婚した後の龍一はどんどん荒れていった。

新しい男を作ったり素性の分からない怪しい男性がうちに入ってきたりした。

その一人はとてもしつこく龍一に付き纏う。

「俺、子供好きなんだよねー」なんて言うけど、本心はそうじゃないって

私にはバレバレだった。

どうせ龍一の身体か年上なのをいい事にお金せびってるんだろうなって

また・・・男に振り回されるんですね。この人。

もはや尊敬が軽蔑に変わるまでに時間は掛からなかった。


「気持ち悪い」

ただその気持ちだけが私を彩る。

「あなたが心配なの」

「あなたの母親なのよ」

嘘ばっかり。

あなたは男でしょ。

一番信じたい人間に嘘をつかれるのってとっても辛いですよ。

それも知らずに未だに母のフリをしています。

男に入り浸り、義理の弟も置いて男に媚びる生活。

「あーあ また地獄はじまったなー」

そう思った中学1年生。


でかい車でカーセックス。携帯を覗いてみたら気持ち悪い文章。

「沢山えっちしようね」

「うん♡」

キモい 

一番最悪だったのはクソ寒い中花火大会に連れてかれた事かな。

「早く行くよ!」

なんて連れてかれました。

髪の毛も乾かす暇さえ与えられずに、気持ち悪くイチャつく二人を見せつけられました。

最悪の思い出です。

担任の先生に詳細には言わずに相談した時がありました。

まあ結果はお察し。濁されておわりましたが


未だに執着があるようで結婚したのに元カノ?元カレである龍一に離婚して子供もいるけど連絡しているクズやろうです。

奥さん、かわいそう。


この世界にまともな人って居るんですか???

こんな頭の可笑しい奴らに囲まれて狂わないほうが可笑しいですよね。

壊れるのは早かった。


それは中学3年の頃。

人生どん底だった私に初めて彼氏が出来ました。

見た目重視ではなかったので出来れば嬉しいぐらいでした。

ただ田舎特有のあれと言いますか、よそ者いやいやムーブの被害者になりまして、

重度のうつ病を発症して風邪ひかない限りは行っていた学校に行けなくなりました。

7日くらい家にかえして貰えなくって土下座してかえしてもらいました。

まあそんな事があって「別れましょう」と一言


私に幸せって訪れるんですかね。


学校にいけなくなった私を殴ったり蹴ったりされました。

児童相談所の方にもお話したことあります。


そうですよね。実子じゃない私に暴力振ったって罪には問われませんもん。

また死にたくなりました。 

イヤホンで首をしめる毎日。

早く死にたい 早く死にたい  早く死にたい

受験も案の定失敗しました。


夜間の学校しか受からなくて世界で一番キライな女と一緒の学校に行くことになりました。

もう嫌。

駅のホームを見るたびに飛び込みたい気持ちに苛まれます。

「死んだら楽になれるかな」


そんな考えしか脳裏によぎらない。



しかし厄介な事にカトリック教徒になった私にとっては自殺は禁忌。


日に日に苦しめるくらいしか私にとっての自由はありませんでした。

一回、惜しい時がありました。

よくある混ぜるな危険が出来る洗剤です。


有毒なガスが充満してお風呂場で死ねる あー苦しいなあ

駄目でしたけど。

実子じゃない私は今の家でもはれもの扱い。

血の繋がらない義父を引き合いに悪口大会。














































早く この地獄から助けて。



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人生のどす黒いのを吐き出したもの 琴乃葉    @ichigoinu0705

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