24. 失敗続き ※セレスティアside
2度目の計画実行は成功した。
ケヴィンは簡単に魔法にかかり、ソフィアとの婚約を破棄した。
ソフィアに浮気しているように見せることも成功した。
この時点ではトラウマを植え付ける魔法は習得出来ていなかったため、幻覚を見せて「逆らえば心臓を止める」と脅しただけである。
たったそれだけだが、婚約破棄させることには成功した。
けれども、計画はまた失敗に終わった。
ショックを受けて学院に来なくなるはずのソフィアが何食わぬ顔で毎日学院に来続けていたから。
だから取り巻きとともに嫌がらせを始めた。
冤罪を着せて、学院の居場所を無くそうともした。
しかしそれさえも上手くいかず、セレスティアは歯がゆさを感じていた。
魔法が効かないソフィアがレオンの近くに居れば、計画を邪魔されてしまう。
「レオン様の婚約者になるためには、ソフィアを排除するしかなさそうですわね……」
独り言ちる彼女の声を聞いた者はいなかった。
その日から、セレスティアは膨大な数の資料がある公爵家の書庫に籠った。
ソフィアにどうにかして幻覚を見せるために。
そして、2日かけてやっと、対策を見つけた。
その方法は、強い恐怖心になる刺激を与え、同時にトラウマを植え付けるという方法だった。
難易度は高かったが、公爵令嬢として闇属性に限って魔法の素質があったため、侍女に対して容易に使うことができた。
けれど、自らソフィアに危害を加えるわけにはいかないと考えたセレスティアは身代わりを用意することにした。
トラウマを植え付けるために邪魔になりそうなアリスにソフィア拒絶させることも思いついた。
そして、思わぬ副産物……洗脳魔法に操作魔法、どれも禁書に記述されていたものも習得した。
もう誰が相手でも成功する自信しかなかった。
「これなら、上手くいきますわね」
「お嬢様なら出来ます!」
こうして、洗脳によって味方になった侍女の賛同を得たセレスティアは浮いた気分で計画を実行することになる。
しかし、現実は甘くなかった。
アリスにソフィアを拒絶させることに成功したものの、翌日にはどういうわけかアルトがソフィアに寄り添っていたからだ。
だから醜聞を流した。
けれども、それすら通用しなかった。
そこで、今度はソフィアにアルトを拒絶させようとした。
「アルト様に暴力を振るってくれたら、さすがに修道院行きですわよね」
手始めに、洗脳魔法でイレーネにソフィアを攻撃させた。
当然といえば当然ではあったが、イレーネの攻撃は容易く防がれていた。
(ここまでは想定内。あとはイレーネが謝れば成功に近づきますわ)
そして、セレスティアの思惑通り、イレーネはソフィアに謝罪していた。同時にソフィアは油断している素振りを見せていた。
「闇の聖霊よ……」
陰から様子を見ていたセレスティアはこの機を逃すまいと小声で詠唱し、イレーネを自由に操れる状態に置いた。
そして、上手くソフィアにトラウマを植え付けることも出来た。
(手ごたえはありましたわ。でも、まだ足りません……)
トラウマを強いものにするため、さらに魔法を使うセレスティア。
しかし、突然記憶を流す感覚が途絶えてしまった。
(防がれたましたわ……。まさか、防御魔法で対策されるだなんて。
でも、アルトを拒絶してますわね)
ソフィアがアルトを避けようとする様子に満足したセレスティアは、気配を殺してこの場を離れていった。
イレーネにかけられた操作魔法をそのままに。
操作魔法をかけられた状態で放置されると、自身の意思で行動しなくなるけれど……それはまた別のお話。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます