ブレイブアイズ

氷上淡海

第1章 【旅立】

第1話

――――――

世界とは、時間という川に流れる揺り籠のようなものだ。

しかし、この川には終わりが無い。

時間という川が終わろうとする時、いつの間にか世界という揺り籠は源流に戻っている。

そして、再び流れ続ける。

揺り籠が風化して、崩れて砕けて無くなるまで、ずっと。ずっと。

――――――



 やった。作戦は成功だ!

 今、ハーヴェイとシイナがゴブリンを1匹倒した。

 後は、俺が受け持ったゴブリンに二人が加勢してくれれば……。


 待て。ハーヴェイの様子がおかしい。なんでハーヴェイの肩に矢が刺さっている?

 ……!!! 木の上に、ゴブリンの伏兵!?

 シイナが気づいたけど、ダメだシイナ、伏兵は1匹じゃない! お前の後ろにもいる!!


 マズい、マズい、マズい!オレじゃ1匹で精いっぱいなのに、これじゃ


 そんな時、自分が抑えていたゴブリンが奇妙に身体を屈める。

 その後ろには、さらにもう1匹のゴブリンがいて、棍棒を上段に構えていた。

 うそだろ……!何匹目だ!?

 頭を殴られ、たまらず吹き飛ばされてヤツらの寝床に倒れこむ。

 頭が熱い。たぶん血が出ている。

 思考が鈍る。こういう時どうすればいいのか、あまり怪我をしたことがないからわからない。

 それでも、2人を助けないと。そう思って目を開いた時、


 首から下の無い、打撲痕と擦過傷でボロボロになった、女性の生首と目が合った。

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