誰でも真似できる成功者たちの共通点

ある有名ミュージシャンのスタッフから聞いた、興味深い話がある。


どのライブでも、たいてい開演前からグッズ販売が行われているが、無論、ファンはそこで争奪戦を繰り広げる。


グッズを買うなら帰りでもいいような気もするが、ツアー限定Tシャツなどは、そこでしか手に入らないため、先に購入するのだ。


ファンは、そこで購入したグッズを身に着けるなりしてライブに臨む。


ひとしきり盛り上がった終盤、ミュージシャンが一旦舞台裏に下がると、ほどなくして湧き上がるアンコールの声と共に再登場、というはよく見る光景だ。


そのとき、ミュージシャンは服を着替えて出てくることが多いが、そこで着ている服は、その日売れ残った一番不人気のグッズTシャツを着て出てくるという。


一度裏に下がったとき、その日もっとも不人気だった売れ残りTシャツを、そのミュージシャンに着せてアンコールに出すのだ。


すると、ライブ終演後、売れ残った不人気Tシャツをみんなが買っていくという算段。


ついさっきアンコールで出てきたミュージシャンが着ていたTシャツなら、不人気だろうとデザインがダサかろうと、買いたくなるのがファン心理。


見事である。


結婚式の引き出物は、昨今、カタログギフトが定番になりつつある。


この冊子に出ている中から一つ、ご自身で欲しい物をお選びください、というあれ。


あのカタログに出ている商品の実売価格を調べた者は、どれくらいいるだろうか。


以前私は、一通り調べてみたことがある。


すると、面白いことが一つわかる。


いくつか調べると、カタログ全体の金額設定はすぐに分かるが、仮にそれが、5,000円のカタログだったとしよう。


カタログ内で大きく見開きで紹介されている商品は、たいてい2,000円や3,000円など、基準の金額よりが安いものが多い。


とても見つけることができないような、小さな写真とともにひっそり掲載されているものの中に、5,000円以上のものが入ってたりする。


いくら高額なものだろうと、当人が使用したいものでなければ意味がないため、価格だけで損得勘定は決められないが、誰が見ても目に付く目立つ商品は、設定価格を下回るものが多かった。


投資は、インデックス商品が一番オススメだと言われる。


しかしこれを、銀行や証券会社がオススメしてこないのはなぜか。


手数料が安いからだ。


信託報酬をはじめとして、彼らは手数料を取るのが仕事だからこそ、わざわざ利益が薄い商品をおすすめはしてこない。するにしても、まず利益率が高いものからすすめてくる。


ミュージシャンのグッズもカタログギフトも銀行家も、騙しているわけでもなんでもない。彼らもまた、仕事なのだ。


インターネットで検索してトップに出てくる情報が均一化されたように、欲しい情報は結局のところ、いつの時代も、中に入り込んで自ら取りにいかなければならない。誰でも見れる、誰でも知れる情報の中に、どれだけ有意義なものがあるかは疑問だ。


人とよく会っている人は、濃い情報をよく知っている。量ではなく、生きた濃い情報を持っていて、知らなくてもいいような余計な情報を入れていない。


生きた情報は、ネットではなく、人が持っている。


私のように社交性がない人間はどうすればいいか。よく飲み歩いている人を友だちにして、彼があちこちから聞いた情報を吸収する、という手があるが、それは二次ソースになるため、そこに「熱」が帯びてこない。


YouTubeLiveでみんな教えてもらう情報も有意義であるが、そのコメントもあくまで無機質な文字に過ぎないため、やはりそこにも「熱」がない。


「そのとき、めっちゃくちゃ驚いて…」


と感情が込められた当人から聞くのと、そう綴られた文字を見るのとでは、受け手のインパクトが違う。インパクトが違えば、感性が震えない。感性が震えないと記憶に留まらず、飲んで寝て起きれば、なにも残らない。なんかあの人面白い話してたなあ、という、ぼんやりした印象くらい。


のちに大成功を収める偉人たちは、必ず本人に直接聞きに出向いた。若き孫正義は藤田田に教えを請いに出向き、若き藤田田は松下幸之助に会いに行った。


結局は、人との繋がりを持っている者が強い。


それはもちろん、フォロワー数でも登録者数でもない。


ネット社会になればなるほど、それは顕著になっていく。

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