無敵だったヤフオクを追いやったメルカリ

1999年、ヤフーオークションが登場したときの新時代感はすごかった。


みんながこぞって出品したし、掘り出し物を探した。もう出回っていない、あるいは、新品では高すぎて買えないあれやこれが手に入るかもしれないという期待感とともに利用者を一気に伸ばした。


しかし詐欺事件が多発するようになると、登場からわずか2年後の2001年から有料化となる。当初は犯罪防止のための導入と謳われたが、当初294円だった月額利用料は508円まで、手数料も3%から8.8%まで消費税のようにじわじわと上がり続けた。


解約をし忘れずっと払い続けているユーレイ会員が相当数いて、その利益が相当でかいらしいなんて噂もあった。


2018年からは、「サービスが整備されオークションの危険性が減った」ということで無料で利用できるように戻ったが、これはメルカリへの対抗策だろう。


メルカリは2013年に登場し、2016年には日本国内ダウンロード数3000万を突破し、破竹の勢いを見せていた。


市場調査会社ニールセンの発表によると、2022年1月における各取引サイトの月間視聴者数は以下のとおり。


メルカリ 2,306万人

PayPayフリマ 1,021万人

ラクマ 1,049万人

ヤフオク! 1,325万人


個人間ネット取引の王者であったヤフオクは、メルカリに圧倒的な差をつけられ、PayPayフリマとラクマも勢いを見せ始めている。


誰もが使いたがるサービスを構築し、無料で提供することで人を集め有料化、これはIT界ではあまりにありきたり手法で、アメリカがこれを独占的にやってきた。しかし、ここに中国が歯止めをかけた。


PhotoshopやPremierなどをはじめとしたサービスを提供するAdobeは、元来買い切りソフトであったが、サブスク化したことでAdobe離れが起きている。もちろん、仕事で使用している人やお金に余裕がある人は使用を続けるだろうが、そもそも、Adobeが本当に最強なのかということに疑問符をぶつけ、信用を勝ち取っているのがCapCutだ。


若い世代を中心に利用されている、TikTokの編集アプリとして代表的なCapCutは、スマホ内で完結できる、あまりにも“簡単すぎる”無料動画編集アプリだ。


一昔前ならプロの動画編集クリエイターしかできなかったようなことが、小学生でもできるような作りになっている。これは今なお成長を続け、背景削除やエフェクトなども簡単にできる。全て無料で。


wordやExcelなどを提供するOfficeソフトもすでに代替え品があるが、Adobeの代替えに相当するアプリは今後さらに登場するだろう。それが中国なのか、インドからなのか。


エジソンを凌駕する新の発明家と一説にいわれるニコラ・テスラは、世界中の人が自由に電気を使える“フリーエネルギー”という世界システムを生み出すが、何者かにより消されてしまったという都市伝説がある。


知識もエネルギーも誰でも分け与えられるに越したことはないが、そうすると儲けられるはずだった人が儲けられなくなるため阻止されるのだ、という都市伝説。花粉症を治す薬はとうの昔に開発されているが、花粉症ビジネスができなくなってしまうから世に出回らない、という都市伝説に似ている。


中国のByteDanceが放ったTikTokは瞬く間に世界を席巻し、動画配信プラットフォーム一強に見えたYouTubeにショート動画機能を実装させるにまでに至らせた。


TikTokとYouTubeの攻防戦は、収益性と、バズるアルゴリズムでデッドヒートを繰り広げているが、注視したいのは、CapCutもByteDanceが提供する編集アプリだということ。


その気になればPhotoshopのようなものも作れるだろうし、もうあるかもしれない。そうなれば、OfficeやAdobeがあっという間に隅に追いやられる可能性もある。


ヤフオクとメルカリのように。

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