「性」と「暴力」以上に人が関心あるもの

人は何に一番関心があるのか。


大人になれば、広告の仕事をしていなくとも、誰もが必ず一度は考える命題である。


社会人になれば自社の利益を上げるべく、恋をすればその子を振りむせるべく、SNSをやればリツイートしてもらえるべく。


人が関心があるのは「性」と「暴力」であると兼ねてから言い続けてきた。


テレビを見ればわかる。ニュース番組を見ればよりわかる。


誰しも心の奥底に眠らせているこの2つが絡んだ事象に、人は強い関心を抱く。だから連日、性犯罪の報道がなされる。地域のネットニュースにおいては、ほとんどそれで埋まってしまっているんではないかと思うことさえある。


飲食店における迷惑行為も同様、こういったニュースが拡散装置となって類似犯を生んでいるのではと指摘するものもなく、賛否の声で埋め尽くされる。関心を引けた証拠だ。


更に突き詰めると、人が一番関心があるのは「自分」という答えに辿り着く。


古くはブログやmixi、Facebookになにか投稿したが最後、あとはその投稿に対する誰かのリアクションが、自分にとって最も重要な事件になる。


逆算すると、会話の楽しさはそこにある。


面と向かって自分が発した言葉に対して、秒でリプライが帰ってくる。同意というリツイートもされる。ここにお酒が入ると、日本人特有の羞恥心が消え言葉が止まらなくなり、うるさい飲み会が完成する。


ZOOM飲み会が流行ったこともあったが、現在も日常的におこなっている人はあまりいないように思う。5Gだなんだと騒がれたわりに遅延が発生するため、言葉が被りやすく、むしろストレスを感じることもある。


東京、埼玉、あちこちで飲んでいるが、すでに週末は満員で簡単には入れなくなった。コロナは明けたと身をもって感じる。結局みんな直接会って飲みたかったのだ。


「テレビは映像を遅れるが、空気までは送れない」とかつて上岡龍太郎さんは言った。


日本人は空気を読む生き物だと言われる。


ネット上には空気がない。


ぼんやりとした空間だけがある。


だからこそ、飲み会が息苦しかった者たちにはネット空間の方が活き活きできる。


元来引きこもり性質の自分には、ネット空間の方が楽である。20歳からネット空間に在籍しているが、「今あって良かった」と当時も思った。


しかし、信頼できる人との飲み会の楽しさはネット空間の気楽を凌駕する楽しさがあるのも事実だ。


コロナが明け、数少ない友人・知人と随分飲んだ。


そして「胃薬 おすすめ」と検索しながら、人間ドッグの予約を入れた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る