第89話 飛天
ブワッ──ズシャッ!
アキラのもとへと舞いおりてきた
『ピィッ!』
そして一声鳴くと、呼応してアキラの胸の青い勾玉 〔青の秘石〕 が輝きだし、その青光にアキラの全身が包まれる。
すると
アキラの視界に星空が広がる。
そこは
アキラはそこに浮かぶ玉座のような椅子に座り、その左右の
これら操縦席と操縦装置らは
そしてアキラの眼前に円盤状の大鏡が現れて、そこに機外の様子が映しだされ──戦闘準備、完了!
「行くよ!
村で暴れている暗黒龍軍団の
歩幅が広くなっている。
脚の長さは同じなのに。
機体のパワーが上がっているからだ。そのため予想と挙動が違っていた。
ともあれ、このスピードなら間に合う!
「でやぁーッ‼」
ガシャーン‼
「逃げてください!」
『あ、ありがとう!』
大鏡ごしに、こちらを見上げた村人の安堵した顔が見えた。
間に合わなかった場合、本当にこの人に危険が及んだのかは分からないままだが、その顔を見れただけでも助けたことは間違っていなかったとアキラは思えた。
「あとは!」
村人が逃げていくのを横目で確認しながら、アキラはスティックを操作した。
ズバッ──ドカァン‼
ちょうど起きあがろうとしていた白巾力士は両断されてHPを全損、爆発しながら跡形もなく消滅した。まずは1体。アキラは状況を確かめるべく、素早く周囲に目を配った。
ドカァン‼
ドカァン‼
クライムと
一瞬アキラは建物に引火しないか気になったが、確かメカの撃墜演出の爆発は周囲に影響しない仕様だった。村の火事は、白巾力士が壊した家屋が内部の火の元から延焼したためだろう。
村ではかなりの数の白巾力士が暴れていたが、こちらも7機。特にアル機が仲間内でも突出した速さで駆けまわって次々と斬りふせているため、白巾力士の残数はどんどん減っていく。
このままでは次の相手がいなくなる。
アキラは
「あっ!」
残りわずかになっていた白巾力士たちは村の中央広場に集まり、そこで地面の上に折りかさなった。そして光りながら溶けあい──
光が晴れると、そこには全高が元の白巾力士の──そしてこちらのメカの──倍ある、全高10メートルの1体の白巾力士が出現した。出典の
2度目だ、これを見るのは。
1度目は、そう……あの時。
アキラがこのゲームで初めて戦った
「みなさんお願いです。ボク1人でやらせてください!」
『カワセミくん?』『少年?』
『アキラ殿?』『あん?』
『『アキラ?』』
ただ──
「以前、これと同じ相手に負けてて。今のボクだけで勝てるか試してみたいんです……ボクの、わがままでしかないんですが」
『リベンジマッチってワケね! いいんじゃない?』
真っ先にサラがそう言ってくれた。
『少年が負けちゃったら、あたしらで戦えばいい。7人から6人に減ったって勝てるのは目に見えてるんだし、先に少年1人だけで戦ってみたって変わんないよね?』
『そうだな。自分も反対する理由はない』
『拙者も異存ないでござる!』
『まっ、いいんじゃねーか?』
『アキラの好きにするといいよ』
『ですって! よかったわね!』
「みなさん、ありがとうございます!」
と、こちらが話しているあいだ合体白巾力士は立ちどまったまま頭を左右に巡らせて、こちらの動きを警戒していた。
その顔が
「行きます‼」
ダッ‼
それと同時に敵機のほうも動いていた。こちらに正対するよう足をさばいて旋回し──その回転に乗せて、両手で握った剣を薙ぎはらう!
「
アキラは両ペダルを真下に踏みこみ、
アキラの 〔とべ〕 が音声入力となり、
ブォッ‼
両足裏のスラスターの推力で重力のくびきを断ちきり、滞空した
敵機は大剣を振りきった直後。2撃目を放つまでの一瞬の硬直──ここが勝機! アキラはぐっと両ペダルを引き、
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