電波ヒロインにはチャラ系秀才を③
突然会話に割り込んできた俺に、眉を顰めるルーファス。
「は、何オマエ?なんか用でもあるの?」
ミアは俺が来た瞬間にルーファスから離れ、俺の後ろに着いた。
今でも少し、震えている。
「ちょっと?今、そこの女の子とせっかくイイコトしようと思ってたのに」
「でもミアは嫌がっていたぞ?」
俺がそう伝えると、ルーファスは顔をゆがめる。
「はぁ?どうせすぐに気持ちよくなるんだからいいでしょ?」
「いや、それはダメだろ」
俺がそう言うと、ルーファスはより一層顔を歪める。
「は?俺よりも成績で下なくせに、何言ってんの?」
「……何を言っているんだ?」
「だ、か、ら!俺よりも頭悪い人間が何言ってんのって!」
……言っている意味が分からない。
「じゃあ、一位のミアはお前よりもえらいんじゃないのか?」
「え、でもそいつ、俺よりも力で弱いだろ?じゃあ、俺より下じゃん」
俺はルーファスを見る。
「俺より下な人間が、何言っても意味無いの!わかる?」
そこには、ただ劣等感におびえる青年がいた。
……なるほど、そういう事か。
「……帰るぞ、ミア」
「え?」
俺はミアの手を引いて図書室から出ていく。
「え、ちょっと、攻略しないと……」
「でも俺がいなきゃ、今頃どうなっていたか……」
その言葉を聞いて、ぶるっと震えるミア。
しかし、それでもミアは、図書室の方を顧みて、
「でも」
というミアに、俺は肩を掴んで諭す。
「元の世界に戻るために、ミアが傷つくのか!?」
〈だ、だって!〉
「ミアが傷ついて、悲しむ人は沢山いるんだぞ!?ミアの両親だって、お姉さんだって、絶対にそんなこと望んでいない!」
〈そ、それは……〉
「物語の終わり方は他にもあるだろ?そっちじゃダメなのか?」
そう言うとミアは黙りこんでしまった。
しかし、ミアはキッと俺を睨む。
〈う、うるさい!所詮ゲームのキャラの癖に!ターナーなんか、ストーリー通りに私に惚れてくれればいいんだから!もう関わらないでよ!〉
「あ、おい!」
ミアはそう言って走っていく。
俺が伸ばした手は、ミアに届かない。
「……知った事か」
そういう俺の声は、どことなく、寂しく聞こえた。
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