電波ヒロインには楽しいお誘いを②
王宮内。
まず俺たちは、王宮内にある特別訓練場に足を運んでいた。
というか、俺たちが王宮に入れたのは、俺たちが訓練の為にここを貸してもらったからで、流石に何の用事もなく、王宮に出入りは難しいのだ。
俺達が訓練場に入ると、そこにはもうすでに何名かが来ていた。
「遅いぞ、ターナー」
「そうよ」
「いや、まだ待ち合わせ時間の前だろ」
俺は、先に来ていた、というより王宮に住んでいるといっても過言ではない二人に文句を垂れる。
「こ、こんにちは、ファム様、ルーシル様」
ミアは、二人にペコリと頭を下げる。
「やぁ、ワーヘル男爵令嬢。今日は君も?」
「あぁ。ミアは特殊属性に適性があったからな」
「そうなんですの?ミアさん。あなた、適性は何ですか?」
「え、えっと、光です……」
そう聞いて、二人とも驚きながらもうなずいている。
「なるほど……」
「まぁ、中々に面白い奴だから連れてきた。まぁ、仲良くしてやってくれ。……ミアもな。まぁ、俺みたいにはいかないかもしれないが、二人ともいい奴だから」
「って、貴方が言っていた面白い人って、この子の事ですの!?」
「あぁ、そうだが?」
「てっきり男性かと……」
「よ、よろしくお願いします……」
ミアはだいぶ緊張しているみたいだ。
なんせ俺が二人に会う事を言うと。
《そんなのイベントになかった……?》
《まぁ、行間というものがあるだろう、そういうものだ》
《そう……?》
と、納得はいかない様だったが承諾していた。
「じゃあ、魔法の訓練といこうか」
「えぇ、そうですね」
ミアに言うと、〈なるほど、デートに行くとステータスが上がったのはこういう理由か〉
とぼやいていた。
まぁ、俺とのデートはステータスが上がるらしいからな……。
きっとこういうものなんだろう。
俺達は、魔法の訓練を始める。
基本的に俺たちは自学自習で訓練をしている。
基礎はもう十分できているし、もう授業で教えられるレベルを超えているからだ。
なので、基礎ができていないであろうミアに教えながら魔法の訓練をしようと思っていたのだが……。
「ミアさん、魔法上手ですね……!」
「え、あ、ありがとうございます!」
「本当だね。ミア嬢は、入学以前に魔法関連の授業を受けたことが?」
「い、いえ。独学で……」
ファムやルーシルから褒められて、ミアはタジタジだ。
……本当にミアは魔法が上手だ。俺より。
俺は、魔力は人より多いのに、魔法を使うのはあまり得意じゃない。
なんか、こう、繊細な作業があまり得意じゃないんだ。
ぶっぱなすのは得意だ。
そんな事を考えていると、いつの間にやら時間が経っている。
「そろそろ訓練を終わりにして、休憩でもしようか」
「そうですね。ミアさんとターナーも来ますか?」
「……あぁ、俺はいいよ。今から少し王宮の図書室に用事があるんだ」
そう言って俺は断る。
「わ、私も行ってみていいですか?」
ミアも俺についてくる。
「……そう、それは残念ですね。また今度、一緒しましょう?」
そう言ってルーシルはほほ笑んだ。
ファムはこっそり俺に近づき、耳打ちする。
「いい女性を見つけたな」
俺は、首を横に振った。
「ミアはそんなんじゃないさ」
ファムはきょとんとして「そうか?」とつぶやいたが、すぐに笑って言った。
「まぁ、今はそういう事なんだろう」
そしてファムはルーシルの元に行くと、
「さぁ、行こう。ルー。せっかくの二人きりの時間だ」
「……まぁ!」
少し顔を赤くしたルーシルとファムは、二人して行ってしまった。
〈なんか、すっごく仲いいね。まるで婚約破棄するような仲とは思えない〉
〈俺もそう思う〉
俺とミアは、二人してそんな感想を抱きながら、その場を後にした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます