龍の子、人の子
むーが
第1話 出会い
「お前が地味だから悪いんだよ!」
「そう、そう! だから悪いの!」
「止めなよ二人とも」
「うっさいわね! あんたは関係ないでしょ!」
「そうだ! 黙ってろ!」
田舎の自然豊かな公園で一人の小学生女子(みーちゃん)に対して悪口を言い続けている二人の男女(こう君とゆうちゃん)は小学生で同級生である。もう一人の小学生女子(なーちゃん)は二人して悪口を言っているのを止めようとしたが駄目なようだ。
みーちゃんはもう耐えられなかった。この場から逃げようと近くの森に向けて走り出す。後ろで何か言っているが、気にしている余裕はみーちゃんにはなかった。
森に入っても走り続けて少し開けている所に着いて走るのをやめる。
あんまり走らないせいか、息が上がっているので丁度良い場所にあった切り株に座った。
息を整えている間にガサッと物音がしてその方を見る。
するとそこには、まるでチョコレートみたいな色をしている不思議な生き物が。
ヘビとかトカゲみたいだがたてがみが生えていたり、角があったりと見れば見るほどに不思議が増える生き物だった。
みーちゃんと不思議な生き物の目が合った。不思議な生き物が言う。
「君は誰?」
その生き物がまさか喋ると思っていなかったみーちゃんは心底驚いた。
「しゃ、しゃべるの?」
「まあね。それで君どうしてこんな所に来たの?」
その生き物は喋りながら短い手足を使ってみーちゃんの隣に来る。
「わ……わたし、美花。みんなからはみーちゃんって呼ばれてる。さっきこう君とゆうちゃんにいやなこと言われて逃げてきちゃったの」
「そっか。それは嫌だったね。でも仲直りしないと駄目だよ。分かった?」
「うん、分かった。それであなたは誰なの?」
「ボク? ボクはね、龍って人間に呼ばれている生き物なんだ。知ってる?」
みーちゃんは考えてみたが思い浮かばなかった。
「りゅう? 分かんない。でもりゅうはやさしい。だってわたしの話を聞いてくれるからやさしいよ」
「そう? ボク、優しい……?」
「そうだよ、りゅうは学校の先生みたいにやさしいの!」
「ふふっ、ありがとう」
龍は嬉しそうだった。それにつられてみーちゃんも嬉しくなる。
「どういたしまして! それでね、ゆうちゃんはすぐおこるの。一位取れなくてもおこるし、きゅう食で好きな物が少なくてもおこるんだよ」
「そうなんだ」
「ゆうちゃんがおこった時にいつも止めてくれるのがなーちゃんなんだ。だけどさっきは悪口止めようとしたけど駄目だった」
「そっか」
「こう君はいつもわたしにいじわるするの。嫌いな虫を近付けてきたり、すぐ悪口言うんだよ」
みーちゃんはその時を思い出して顔をしかめる。
意地悪するくらいなら私のところに来なければいいのにと思うがそうは上手くいかない。理由が分かればまだ対応できるのにとみーちゃんは思った。
「なんでだろうね」
「分かんない」
「あっ! ねえ、明日ここに来て良い? りゅうと話したい」
「良いよ。気に入った。明日以降もいつでもおいで」
「分かった! じゃあね!」
「気を付けて帰るんだよ」
「うん」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます