【KAC20233】不満溜りは今日もぐちゃぐちゃ

不満溜りは今日もぐちゃぐちゃ

　今宵もどこかから聞こえてくる。

　ラジオの電波に乗ってか、インターネットの波に乗ってか、はたまた光の波動に乗ってか。

　この世に住む全ての人に、この世に住む全ての人から。

　誰が呼んだか『ぐちゃぐちゃ』物語、今日もオンエアー。

「うちの夫がさ、お前は家事だけやってりゃ良いから楽だよなって言うのよ！　頭くるわ！　それなら自分で家事してみろってね！！」

「そうなんですね。うちの旦那は子育てに興味がなくて……仕事してれば良いって思ってるんです。まともに寝れなくても家事変わってくれる事ないし。疲れた……」

「それは大変だね。うちの嫁は家事もしないで出掛けてばかり。ママ友とお茶にでも行ってるのかね。休みの日も仕事してるってのに、オレも遊ぶ時間が欲しいよ」

「へぇ、あんたんとこも大変だな。うちは鬼嫁だよ。家に居ても落ち着きやしないよ。怪しい宗教の勧誘とか自己啓発セミナー（笑）でも聞いてた方がマシだな」

「セミナーも学校も嫌なことはいっぱいあるよ。僕を嫌いな奴が僕をいじめてくるんだ。死んだ方がいいんだって」

「そうだよ。学校カースト上位は何やっても許されるんだって。この世は力で弱肉強食。結局は侵略者が勝てば好き勝手出来るって事なんだよ。力のない僕たちには何も出来ないんだよ」

「社会はもっと酷いんだよ。オレが行ってるブラック企業だってイジメと横領ばかりだ。イジメなんて社会に出れば犯罪なのに、周りにバレなきゃ良いって思ってるだよ」

「まだ仕事してるやつはマシ。会社に来てダベって定時に帰ってるとかマジ許せん。こっちはトイレ行く暇もなく働いてるってのにさ。居てもいなくても一緒だからさっさとクビにすりゃ良いのに！」

「まだマシやって。うちの彼氏は──」

　そう、お話もぐちゃぐちゃ、感情もぐちゃぐちゃ、それが『ぐちゃぐちゃ』。正しくは『愚痴屋寓千夜』。絶えることない様々な人の愚痴が作る物語。