第22話 谷津田潤葉(やつだ うるは)はかえりみる
白色の光が映し出すのは、どこまでも続く
「やはり……この方角で間違いありません」
魔導ランタンを
だが、その道のりは険しく。
「だろうな。しかし、こいつら……」
「数が多すぎる!」
通路を埋め尽くす異形どもの勢いに、烈士たちは押されかかっていた。
赤い肌をした人型の怪物・シュノバン。一本角を頂く身の丈は巨漢の
腕っぷしの強さは言わずもがな。
「クソッ……! 肩がイカれた……!」
「無理せず一旦下がりなされ!」
味方に治癒術をかける傍ら、幽慶は前衛を引き受ける。
開けた反対側では、
「敵の動きをよく見るでござる! フッ! ハッ!」
「わかってるから射線上に立たないでくれぇ!」
絶え間なく動き回るシタナガの群れに、遠隔部隊も的を絞れず翻弄される。長い手足に加え、生き血を吸い取る鞭のような舌が厄介だった。
「瑠仁郎さん、邪魔ぁ!」
「かたじけな……――ぐぇええっ!」
瑠仁郎の体を背後から舌が貫通する。
「瑠仁郎さぁあああん!!」
「ところがどっこい、生きているでござる」
突き刺されたのは〈
「涙返して。あと邪魔」
「かたじけないでござる……」
シタナガ、シュノバン、いずれも異界の瘴気を吸い込んで凶暴化している。数で劣るこちらが正面から迎え討ったのでは、押し負けるのは道理だ。
「みんな、よく聞け!」
「和尚は向こうへ回ってシタナガを引き付けてくれ! ルジはこっちへ! スピードでシュノバンを掻き回すんだ!」
信頼する仲間たちが、即座に応じてくれる。
潤葉の心に、もう迷いはなかった。
「カヤ、頼んだよ」
「はい。潤葉様――」
広範囲を覆う闇の天幕に呑み込まれ、シタナガの群れが壊滅に陥った。
残るは、突進しか能のないシュノバンだけだ。
「怯むな! 一対一ならば
(ようやく見つけられた。これが僕のやり方なんだ)
思えば、信念も覚悟も足りていなかった。立ち向かう相手だけでなく、共に歩むべき仲間たちを見据える目を忘れてはいけなかったのだ。
(〝あの子〟のほうがずっと周りが見えていた。それなのに、僕は……)
弟が財閥の跡継ぎに選ばれたのは、
(
谷津田潤葉は
「さあ、行こう。僕の背中を見失うなよ」
「見失うものですか」
初めて出会った日と同じ眼差しが、
(
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