第39話 真っ白な嘘

逆恨み猫 そんなわけで、皆さんでリレー小説を書いてみませんか


松浦忍  でもですね。リレー小説ってあまり腕を磨くのには効果をなさな 

     いと思うんですよね。やっぱり、その方法だと伏線の書き込みと

     か、メタファーとかどうしても書きにくくなっちゃいますから


高野聖  たしかにそうですね。では、こういうのはどうですか。皆さんで 

     お題を出し合って、そのテーマでそれぞれ自分の作品を書いてい 

     く。それをリレー形式で入れ替わりに書いていくというのは


タマやん あ、それおもしろそうですね。それだと同じテーマを他の人とが 

     どうやって書いていくのかっていうのもわかって面白そうです


逆恨み猫 じゃあ、それで行きましょう。テーマは何にしますか


松浦忍  嘘。


高野聖  夢。


タマやん 童貞(処女)


逆恨み猫 じゃあ、友達。これでテーマは決まりですね。それでは始めまし  

     ょう。まず、わたしから行きますね





 ――まったく。世界は優しい嘘で満ち溢れている。世界のばら撒かれるたくさんの数えきれない嘘のそのすべてが真っ赤な嘘というわけではないようだ。あるものは言葉巧みに嘘を演出し、その中にくるまり、それを真実として生きているのだ。

 この『赤』という嘘にまつわる形容詞は、『あきらかに』という意味らしい。

 対して、英語では『White lie』という言葉がある。直訳するなら『真っ白な嘘』ということになるのだが、この言葉の意味は『悪意のない、優しい嘘』という意味になるらしい。

 ひとえに小説家というものは、この優しい嘘をつく職業だと言えるだろう。虚構の世界にそれぞれが思い描く理想の世界ユートピアを描き出す。

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噓つきは小説家の始まり 水鏡月 聖 @mikazuki-hiziri

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