第280話 ~主要~ ※登場人物紹介(4/6)


◇ベルメルシア=ベリル

『アメジストの実母』


 真珠のように輝く美しいロングストレートの髪は神秘と言われる翠玉エメラルドの色で見る者の心を奪う。そのキラキラと輝く光を放つ毛先はゆるくカールされ、ふわふわと優しい印象。二重瞼で大きな瞳は髪色と同色で麗しいと、皆の憧れであった。


 ベルメルシア家の一人娘として大切に育てられたベリルは、自身の十八歳の誕生パーティーの席でのちに夫となるオニキスと出会い恋をする(この時、両親はすでに他界)。

 それから二十歳で結婚、二十二歳の頃に身籠る。約十ヶ月後にアメジストを無事出産したその夜、突然の病でこの世を去り、その原因は未だ不明である。


 ベリルは『治癒回復』を完璧にこなす魔法の使い手として、貴重な存在であった。

【第45話、第61話、参照】


 スピナが仕切り始め、生前のベリルを知る者も少なくなったベルメルシア家。しかし彼女の守ってきた心を引き継ぐ者はおり、今も思いは生き続けている。



◇スピナ(ルシェソール=スピナ)、四十歳前半。

『アメジストの継母』


 腰まであるソバージュの黒髪と切れ長で整った睫毛まつげに隠れる瞳は藍色。氷水のように冷たい声は皆の恐怖心をあおり、スピナの花にあるとげのようだと囁かれる。


 アメジストの母ベリルとは“姉妹”と言われる程に仲が良かった。

 そんな彼女の学生時代、哀しき過去。十八歳の頃、家族を火事で失うという不幸な出来事に見舞われる。それがきっかけなのか、数年後にはまるで別人のように口調や性格が変わった。

【第110話、第214話、参照】


 消滅したルシェソール家は代々、草木花を使う魔法能力が得意で現在一人になった彼女はその魔法を悪用し、密かに毒を作る。自身が持つ魔力について周囲には明かさず、隠したままで。


 ベリルを失い落ち込むオニキスがほんの少し見せた心の隙間に入り込んだスピナの毒。それが何らかの方法で周囲の者たちにも効き、自分が新しい奥様であると信じ込ませた。


 ベリルが息を引き取る瞬間、傍にいたというスピナが見せた不敵な笑みと、その枕元に置かれていたオレンジ色のマリーゴールドは妖しく光る。

【第273話、参照】


 魔力開花をさせたアメジストが、継母と心通わせようと試みた会話でスピナから漏れ出た声は一体、何を意味するのか。

【第112~114話、参照】


 スピナが唯一、心を許す者。

 ルシェソール家に仕え、ずっと彼女を傍で見守り送迎するスピナ専属の御者である。

【第195、226話、参照】

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