第6話 種族
ジャニスティ、年齢不詳。
若く見えるが三十代後半と思われる。
綺麗な
◇
「では私は、一度部屋を出て医者の手配を。念の為、鍵を掛けます」
ジャニスティが部屋の扉へ向かいながら、声をかける。
「そうね、そうしてちょうだい」
アメジストも返事をしながら、着替えさせるために急いで助けた子の濡れた服のボタンを外し始めた。
(急がないと体温が……早く体を温めてあげなきゃ!)
アメジストの動きを確認したジャニスティは、部屋を出る扉に手を掛けようとしたその時、その足を
「ま、待ってジャニス、ちょっとお願い待って!!」
「アメジスト様! いかがなさいましたか?!」
扉から手を離し急いでソファベッドのある部屋へ戻る。嫌な予感が頭を
(まさか、もう手遅れだったか)
「お嬢様……」
「み、見て。この子の背中」
最悪の事態を考えながら、アメジストの元へ戻ったジャニスティは
「なんと、これは……」
――羽を持つ夢の種族『レヴシャルメ』。
「ジャニス、それってまさか」
「はい、この子の状態から恐らく先月襲われたというレヴ
「――!!」
アメジストは手で口を抑え、驚きで声が出そうになるのを必死で落ち着かせた。
レヴシャルメ種族には、様々な力が隠されていると言われる。
そしてこの街にもレヴの一族が住む屋敷があった。が、周囲の人たちとの関係は良好で、皆穏やかに仲良く過ごしていたという。
しかし先月の暮れ、レヴの屋敷が何者かに襲われた。そしてなぜかその日から、屋敷からは
――その、
何者かが金品だけでなく『レヴシャルメという美しい種族そのものを欲しがり、どこかへ連れて行った』というのだ。その後、捜査が入った屋敷内には羽根や血痕が残されていた事から噂はますます真実味を帯びた、痛ましい事件であった。
情報を聞いていたジャニスティとアメジストは、このレヴ族の子は事件に巻き込まれたのだろうと察したのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます