第39話 阿久聖、まーた人間辞めるってよ
俺の心は
既に
当然、俺は迎え討つ。
それを半身になって何とかかわし、右手の刀で
流石に胸に秘める
それを集中させた
ギリギリの所で刀身でガードするもその勢いは強く俺は一気に押し込まれる。
両足で何とか踏ん張ろうとするも、
そして、とうとうその衝撃に耐えきれずに持っていた刀の刀身が砕け散った。
俺はすぐに刀を放り出すと、左足を大きく踏み込んで
アッパーを喰らって堪らず吹っ飛ぶ
俺はすかさず追撃に移るも敵もさる者、バク転の要領で逃れると間合いをとった。
「はははッ! 粘るねぇ。でもそろそろ頂くとしようかッ!」
そう言うと
その指先に塵が集まり球体を作り出す。
闇の
その小さな
熱い感触――
俺は思わず片膝をつく。
再び、
左腕は再生中で機能しない。
右太もも、脇腹、右腕、そして今度は
最早、俺の体は完全に動きを封じられていた。
「では頂くとしようか」
恐らく負の感情を喰いながら。
やけにゆっくりと感じられる時間。
俺の頭の中にここしばらくのことが浮かんでは消えていく。
セピアのこと、ルージュのこと、色褪せた生活が色づいたこと。
少しの間だったが、色々と楽しかった。
そう、俺は楽しかったんだよ。
最初は正直、勘弁してくれと思ったけどセピア色の生活がカラフルになったんだ。
気が付くと俺の目の前まで来て俺を見下ろす
その目は獰猛な餓えた獣のよう。
ここまでか――
ギヂィッ!
肉――ではなく硬質な物を貫く
俺は目を閉じていた。
いくら待っても痛みはやってこない。
ゆっくりと開く。
俺の目に飛び込んできたのは、俺にもたれかかるセピアの顔であった。
セピアが
彼女は両手で俺の頬に手を添えると、かすれて震える声で言った。
「先輩を解放してあげます……」
俺が戸惑っていると、セピアのはにかんだ顔が近づく。
彼女の唇がそっと触れる。
そして、そっと離れた。
「これでセルリアン様の術式も消滅したはず……」
その瞬間、俺は凄まじい痛みに襲われる。
のた打ち回りたいほどの激痛だが、目の前には体を貫かれたセピアと、
ここで俺がすべきことは泣き叫び嘆くことではない。
魔人になることだ。
「スカーレットッ!」
俺が力を振り絞って、
返ってきたのはスカーレットの力ある言葉であった。
【
先程と同じように地面に六芒星が出現し、更に頭上にも六芒星が描き出される。
上下の六芒星が円柱状のフィールドを形成し、プラズマのような光が荒れ狂う。
「
先程の余裕はどこへやら、セルリアンの声は最早、悲鳴に近い。
俺が魔人化するのがそれほど嫌なようだ。
「ふん。
対するスカーレットの余裕の声が聞こえてくる。
肝心の
超至近距離で。
俺の周囲が闇に飲まれる。
しかし円柱状のフィールドが結界のような役割を果たしているのか、闇の奔流は弾かれて俺まで届かなくことはない。
そんな
みるみる内に痛みは引き、まるで漆黒の闇の中で
やけに時間がゆっくり流れているかのように感じられて、焦れったさに心が落ち着かない。俺をかばって体を貫かれたセピアの容体が心配なのだ。
そんな俺の思いとは裏腹に、真っ暗だった目の前が不意に明るくなる。
天使の集団が空から降臨し、黒い翼を持つ者たちと戦っている。
もちろん
しかしここはどこなんだろうか?
目に映るのはまるで異世界のような現実とは思えない荒涼とした場所だ。
両者は地上にいる人間のことなどまるで見えていないかのように苛烈な
戦いは激しく、映画のようにどんどん切り替わる光景に俺は目を奪われていた。
そして再び場面が切り替わる。
今度は地面が何層にも分かれており、吹き抜けのように下層から上層までぶち抜かれている断層のようになったおかしな世界であった。
そこには、あまりにも巨大な霊体が封じられている。
それから感じられる霊的エネルギーは今まで見た天使や
これは一体誰の記憶なのだろうか?
その後も天使と
もしかしたらこれが話に聞いた
そう考えてくると俺の中に浮かんでくるものがあった。
――
その言葉を認識した瞬間、俺は急激な浮遊感に襲われる。
水深の深い層から海面へ一気に浮上するように俺の意識は覚醒した。
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