第17話 結局、喧嘩の原因ってナニ?
無事に家に辿り着いて自分の部屋に入ると、そこにはルージュが腕組みして仁王立ちしていた。
「やっと帰ってきたわね。待ちくたびれちゃったわ」
「ん? 何かあったのか?」
「おおありのありよッ!
「それは気づかなかったお前が悪いんじゃあ……」
「そんなことはよろしい」
あ、誤魔化した。
「ってお兄ちゃん、
「ああ、鬼の大軍に襲われたもんでな」
その言葉にルージュはハーーーーーーッとわざとらしい大きなため息をつく。
「お兄ちゃんの
「ゆーても咄嗟だったからなぁ……」
単に流されてしまっただけなのだが、もしあの時神人になっていなければ死んでいたかも知れない。
俺はルージュの話を聞きながら部屋に上がるとソファに腰掛ける。
「そんな違うもんなのか?」
「もうゾウとミジンコくらい違うわよ。お兄ちゃんはそれだけすごい
「でもお前ら
「そんなこと、誰が言ったのよ?」
「セピアの上司の天使だな」
それを聞いてルージュは再び大きなため息をつくと言った。
「そりゃ、そう言うでしょうよ」
確かに正義の反対は悪ではなくもう一方の正義だ。俺が今話したことは神や天使側の一方的な言い分である。
俺は
俺のモットーは公明正大なのだ。
「で、
「まぁ、かつての大戦で敗北して宇宙の覇権を
それを聞いて俺は神話のことに頭を巡らせる。
ってことは最初は
「その大戦?ってヤツ以前はどうなんだよ。最初から
「流石に昔話過ぎて分かんない。原初の
「へぇ……。何か気に喰わないことがあったのかな? それに神様ってぇのも随分と不寛容なんだな」
「器が小さいわね。確かに最上級魔神の中には単に宇宙の覇権を握ろうと言う野望だけで動いている方もいるみたいなんだけど……」
「なんだ。徹底抗戦派もいるんだな。そういやセピアも言ってたぞ。最近、
「あれは、今の世界に存在するバグを攻撃しただけよ。宇宙の脆弱性をついただけ。そしたら結果的に鬼が大量発生する事になったの。そんなことになるとは思わなかったんじゃないかな」
「なんだ。狙った訳じゃなくて、藪をつついたら蛇が出たってだけか」
俺の印象では、
「そんなことより、ご飯食べるでしょ? 今用意するね」
てか
俺の
「ああ、ありがとう」
俺は、何だか複雑な気分で頷いた。なんか主婦業が板についてきたな。ルージュ。
見た感じ、部屋の掃除もしてくれているようだし、俺のいない間もしっかり家事をこなしているのか。俺はソファに座って、お昼の情報番組を見るルージュの姿を幻視した。
もう主婦だろ。これはもう分かんねぇな。
ルージュがテーブルに料理が並べていく。
見た感じ、お店でお惣菜を買って並べただけとかそう言うものではなく、手料理感が満載の晩御飯であった。
なんだかんだ、ありがたい存在である。
世話になりっぱなしで、もう完全に情が移っちゃったな。
「さぁ、召し上がれ!」
その言葉を合図に俺は料理に手を伸ばした。
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