C2

あれから1ヶ月が経った。1ヶ月が、経ってしまった。


アプローチの回数、0回。会話の回数、4回。


以上。いやおかしいだろ!?1ヶ月で会話4回って何だよ?


すぐ近くにあなたが好きな人を狙ってる人がいるんですよ?


もうちょっとアプローチしたらどうですか?アプローチせずとも会話ぐらいしたらどうですか?


「りょ、涼太…」


そんなことを考えてたら雅哉がこっちにやってきた。なんだ?


「僕は今日、山本さんに告白する!」


ヘタレ鈍感天然朴念仁馬鹿阿呆間抜けがついに頭イカれちまった。


いや、そうでもないのか?これは純粋に考えれば2人がくっついてハッピーになるんだし…。


「つきましては一緒に告白していただきたく!」


いや、やっぱ頭イカれちまったわ。何?一緒に告白してくれって。


「お前も山本さんのこと、好きなんだろ?だったら…」


的な感じで俺を理由に話しているが、


「その心は?」


「1人じゃ恥ずかしいのでついてきてください!お願いします!」


やっぱり…。…一回しばいたろうかな?こいつ。






















「えーと、2人とも。私に何の用かな?」


さぁて?本来は1人でいいはずなのに何で2人なんでしょうね?


雅哉こいつのせいだよ!馬鹿野郎!


チラッ、チラッチラッ、チラッ。


何だよこの目線の合図は。え?いつ告白するかって?


チラッ、チラッチラッ、チラッ。(知るかボケ。自分で考えろ。)


チラッ、チラッチラッ、チラッ。(でも、タイミングがわかんない…)


チラッ、チラッチラッ、チラッ。(じゃあ、3、2、1のカウントで行くよ)


チラッ、チラッチラッ、チラッ。(分かった。じゃあ、恨みっこ無しだよ)


「ええっと、何か話してもらわないとわからないのだけれど…」


だろうな。目線の会話だけで1分の沈黙だぜ。山本そっち側にとっちゃ溜まったもんじゃなかろう。


さて、カウントするか。ああめんどい。何で俺がこんな事…。


「3、 2 、1」


「「好きです。付き合ってください!」」


ふぅ、言い終わった。いやー、しかし今までの道のりが長かったな。まさか焚き付けてから1ヶ月もしないといけないとは思いもよらなかったわ。


「ごめんなさい。お気持ちは嬉しいのですが…。今は、どちらとも付き合いたくありません」


うん、何で?




は、やばい。思いもやらぬ事態に一瞬記憶がトリップしていた。


いや、流石に、流石に聞き間違いだよな。好きな人が告白してんだ。それを断るなんて…


「本当に、ごめんなさい。2人とも、友達からでいいなら…」


すぅー、幻聴でも幻覚でもなかったわ。ならもう一度問おう。なんで?

















  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る