第108話 エピローグ(4)
「アーラのせいじゃないよ。僕が神さまに望んで、それを神様と
「そうかしら?」
「うん。僕はそう思ってる。僕が守護天使になると決めたのは、きみのそばを離れたくないからだもの。そう思えるのは、やっぱり
「……そうだといいな。私も、フリューゲルといつも一緒にいられて楽しかったもの。そうね。もう気にするのは止めにするわ。私をここまで育んでくれた
私達は互いに笑みを交わす。こうして話していることさえ、近いうちに忘れてしまうのだと思うと、とても寂しい。それでも、私は塞ぎこんだりしたくない。今しかできないフリューゲルとの交流を、心の底から楽しみたい。アーラという存在が消えてしまっても、フリューゲルは絶対に覚えていてくれる。彼の中に残るアーラが寂しいものにならないように。悔いの遺した顔を彼の中に刻みつけないように。私はいつだって笑っていたい。
心配事をまた一つ吹っ切り口元を緩めていると、心配そうにフリューゲルが顔を覗き込んできた。
「
フリューゲルの言葉に安堵し頷くと、彼は、「だから」と言葉をつなげる。
「僕のためにも、学びをやめるなんて言わないでよ」
「……どういうこと?」
「僕は、きみのそばでもっと人の気持ちも植物の気持ちも知りたいんだ。アーラだって、本当はもう園芸の虜なんだろ? 知ってるよ。きみがいつも泥だらけになりながらも、常に口元が緩んでいること」
そう言って、フリューゲルはいたずらそうな笑みを浮かべた。やっぱり双子の片割れは、私のことをよく分かっている。
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