第104話 冬の章(32)
「僕はまだまだ司祭様には遠く及ばないけど、いつかは司祭様のように皆を導けるような天使になりたいと思ってるからね。そのためにも、まずはアーラの守護天使というお役目をしっかりと果たすよ」
私の目を見て、決意を伝えるようにしっかりと頷くフリューゲルが頼もしく感じられた。これまで足並みを揃えていたと思っていた双子の片割れが、急に大きく見えて、私は目を丸くして彼を凝視した。
ほんの少し離れていただけなのに、ほんの少し違う経験をしただけなのに、私達のこれからは、こんなにも違う道になってしまったのかと寂しさを感じずにはいられない。しかしそれとともに、私もしっかりと前を向いて進まなければ、大きく成長した双子の片割れに、差をつけられてしまうという焦りにもにた負けず嫌いな一面が、私の中でむくむくと頭を擡げてきた。
「そう。じゃあまずはしっかりと私の守護、よろしくね。守護天使様」
私の言葉に、フリューゲルは顔を輝かして、任せておけと言わんばかりに大きく頷いた。
そんな私たちのやり取りを静かに見守ってくださっていた司祭様に、私は向き直る。
「アーラ。ご理解いただいたのですね」
安堵を見せる司祭様に、私は苦笑いを返しながら答えた。
「全てを理解したわけではありませんが……。私には、やはり神様のことも
司祭様は嬉しそうに微笑むと握っていた私の手に力を込めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます