第27話 夏の章(2)
しかし、
本当は、すぐにでも樹木の手入れの仕方を教えてもらいたかったのだが、入部してすぐに、私の希望は却下された。「園芸初心者が、いきなり樹木の世話などできるわけがない」というのがその理由だった。
早く知識を身につけたかった私は、必死に頼んでみたが、どうしても了承してもらえなかった。
仕方がないので、
そうするうちに、私はとても無謀なことを言っていたのだということが分かってきた。
確かに、
枝の切り方一つで、その木を駄目にしてしまうことだってあるのだ。植物にとって、その時何をしてやらなければいけないのか、やわらかくて暖かい土が必要なのか、光を当てなければいけないのか、広い空間が欲しいのか、そういう植物の気持ちや声が分かるようにならなければ、ちゃんとした世話などできないのだということが、最近少しずつ分かり始めてきた。
今の私では、
そんな園芸初心者の私に割り当てられた作業が、花壇の世話、格好良く言えばガーデニング作業だ。
校内のどこでも、好きに世話をして良いと言われたので、少しでも多くの技術を身につけられるよう、全ての花壇の世話をすることにした。
しかし、校内全てとなると、作業は単純ではない。結果、日々土まみれになっている。
それに加えて、最近は、毎日のように花壇が荒らされているのだ。夏休みに入るまでは、こんなことはなかった。
夏休み初日、水やりのために学校を訪れると、前日に苗を植えたばかりの花壇が、見るも無残に掘り返されていた。幸い、苗は傷ついていなかったので、植え直すことができた。
そんな苦境にも負けず、ちゃんと根付いたらしい苗たちは、今は緑の葉を元気に空に向けて伸ばしている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます