第7話、どっちにしてもギャルじゃねーか!!!!
とりあえず、人間を探そう。
そうすれば、ここがどういう世界なのか分かるはずだ。
と、
なんだかんだ言って、人間が、というか人間みたいなのがいればだいたい情報持っているだろう。
ゴブリンみたいなのだったら詰みそうだけど。
エルフみたいなのも詰みそう。
お願いですから普通の、ふっつーーーの人間であってください。
錆びとりした剣で蔦を切りながら森を進む。
ふむ。
切れ味は上々。
何ならこれを売ってお金を得るのもありかもしれない。
とはいえ、それはこのギャル姿で襲われた時に反撃できる能力があればの話だけれど。
「そういや、ステータスとかどうなってんの? …見てみっか」
種族
ギャル系スライム
成体
食べたもの
[草][苔][岩][ガラス石][砂][魚][エビ][小魚][貝][何かの種][木の破片][砂利][小石][珊瑚??,][蟹][ナマケモノ??,?恕?][錆][鉄][???石][??.?麌?の欠片]
基本スキル
[補食][分解][吸収]
獲得スキル
[光感知能力][振動感知能力][熱感知能力][水泳能力][味感覚][嗅覚感覚][触覚強化][振動発生]
特殊スキル
[変身](発動中です)
[ギャル系特殊スキル]
(条件を満たしていません)
「ん?」
ステータスの上の方に変なボタンがある。
試しに押してみると、見慣れたスライムのステータス。
もう一度押すと、“ギャル系スライム”のステータスが表示された。
え、なに?ステータス別々なの?
「なにこれ、ギャル系特殊能力???」
ギャル能力とはなんだ。
頭に浮かぶのは、遠い記憶にあるいにしえのギャル達。
派手派手ゴテゴテの視覚の攻撃力が高い女子だ。
解析不能な暗号交じりで仲間と交信し、書く文字は符号の寄せ集め。
すべての物事をウケるーと叩き落とし、ストラップはバナナのように房になっていた。
あまりにも付属品が多すぎて本体が迷子。
ギャル化ギャル目の種族数が多すぎて、何処の民族のようだなと思ったもんだ。
今や俺がそのギャルな訳だが。
さて、そんなギャルの能力と聞いて思い付いたものはあるだろうか。
残念ながら俺はなかった。
とりあえず今は使えないようだから、無視しよう。
「しっかし、ギャルと言えど山ほど種類があるのに、何でこれなんだ。いや、そうじゃない。ギャル以外の選択肢は無いのか選択肢は。……お?」
よく見てみたら、ギャル系スライムの横にアイコン的なものがあった。
なんだこれと押してみた。
「うわっ」
視界にギャルの全体像が出てきた。
「これ、スライドできるじゃん」
タップして横にスライドすると、別のギャルがやって来た。
黒ギャルだった。
「……」
スライドした。
白ギャルだった。
スライドスライドスライド。
コギャル、ヤマンバ、ガングロギャル。
…………。
「すぅぅー……。どっちにしてもギャルじゃねぇかああああああああああああ!!!!!!」
どっちにしてもギャルしか選択肢は無かったらしい。
これ絶対にミスじゃないな。
わざとだ。
いつかボコボコにしてやる。
水槽に突っ込んで光を消してやる。
新たな決意を胸に、俺は森を突き進んでいった。
どのくらい歩いただろう。
日が暮れていく。
「……なんか、疲れてきた……」
スライムの時には感じなかった疲れが体を重くさせる。
あまりにも疲れて、足が前に出せない。
「ちょっと休憩ー…」
その場に座り込むと、ボルンと音を立てて体が中に投げ出された。
(うわっ!!)
ベショリと地面に落ちた。
急に変身が解けてしまったようだ。
(うーーー……。しんどい……。なんつーか……、お腹すいた?)
はっとした。
そうか、これはお腹がすいただ。
そういえば、剣を食べてからなにも食べてない。
(とりあえず、なにか食べよう)
近場にあった枝を食べてみた。
パサパサしていた。
枯れ枝だからか。
(うーん。物足りない)
石ころも食べたけど、足りないというか。
(水が欲しいな)
いつもはこんなこと思わないけど、もしかしてずっと水のなかにいたのが関係してる?
近くの木に向かい、柔らかい枝を引き寄せて葉っぱを食べた。
やっぱりそうだ。
おそらく、俺は水が無いと不調になるらしい。
スライムの性質なのか何なのか。
これは早々に水場を見付けた方が良さそう。
スライムの状態で草を食べ続け、夜が明ける頃にはすっかり回復した。
(よし、変身!!!)
ボン!とギャル化。
とても不本意ではあるのだが、移動はこっちのが早いのだ。
落ちてた剣を拾い上げていざ出発。
三回夜が来て、三回朝が来たところで、ようやく町らしいものを見付けた。
ムシャムシャとギャル姿で葉っぱを咀嚼しながら小高い丘から町を見下ろした。
大きな街だ。
壁におおわれていて、その中には多くの建物が密集して建てられている。
どうにかして街に侵入しなければ。
「むー…。…お?」
壁に向かう道がすぐ下にある。
観察してみると、その道を荷馬車が通過していた。
あの上に落ちられれば入れるんじゃないか?
スライムなら、小さくて目立たないし、何より平らになれば見付けられないだろう。
「うん。俺ってば頭いいじゃん」
こそこそと移動し、道の上に伸びる木の近くまでやって来た。
一旦剣を取り込む。
何とこれなら持ち運びが出来るのだ。
スライム素晴らしい。
早速スライムに戻って枝へと飛び付き、目当ての場所へと移動した。
あとは、ちょうど良さげな荷馬車が通るのを待つだけ。
ベスト位置に辿り着くと、ちょうどよく荷馬車がやって来た。
(ほっ!)
ビタンと荷馬車の屋根部分に張り付いた。
これでよし。
荷馬車は俺が張り付いたのを知らぬまま、街の中へと入っていった。
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