溺愛悪役令嬢に転生しましたが、推しがいないので『発酵』の道に進ませて頂きます!

海鳴ねこ

プロローグ


 ―― 皆様は、『発酵』と言うモノをご存じですか?


 ええ。アレです

 味噌やら、チーズやら、ワインやら。

 それらを作るために必ず行う作業の事。


 本に書かれたままの事を記します。

 『微生物をもちいり。これらの作用で、有機物を分解して新しい物質をつくる』という事です。

 

 『発酵』とは微生物の生命活動の一環。

 古代メソポタミアより更に前から既に利用されていた科学的現象。

 特にワインは古く、今から八千年前には既に存在していたと痕跡が残されており。

 意外と思う方もいるかもしれませんが、ビールも古代エジプトから存在し、記述が残っているそうですよ。


 お酒と言う娯楽は、太古の昔から人々が発見していたと言う事になりますね。


 ちなみに、「腐敗」と「発酵」の違いは。

 簡単に言うと造られた新しい物質が人体に「有害」か「有益」か、の違いだけだそうです。


 詳しく書くと「発酵菌」と「腐敗菌」と二種が存在してまして。

 発酵は匂いや色やら、身体が有益と感じたモノを「発酵菌」

 鼻につく様な酷い匂いをさせ、食べると身体に害をもたらすモノを「腐敗菌」と表し。


 更に、もっと詳しく書けば、腐敗菌は――……。


 いいえ、ここで止めておきましょう。


 身体の良いものが「発酵」

 身体を壊すモノが「腐敗」


 そう覚えていれば、良いと思います。


 さて、話を戻しますが、皆様はこの発酵を何処まで日常的に活用しておりますか?

 食べモノでいいのです。何かを食べた。ぐらいで良いです。


 例えば、先ほど挙げたお酒。

 これは発酵食品です。


 次に、みりん、しょうゆ、みそ。

 日本人に欠かせない、これ等もまた発酵食品です。


 日本食が嫌い?お酒は飲まない?


 でしたら、パンはいかがですか?

 あれもまた、イースト菌を使用し、発酵を利用した食品の一つでもあるのです。日本らしく言えば酵母菌と言います。

 今はお手軽ですが、果実や穀物に付着した酵母を利用した手間暇が掛かる物も存在します。


 では、ここでもっと上げます。

 マヨネーズ、ケチャップ、ソース全般。

 漬物、納豆、チーズ、ヨーグルト。


 一つぐらいは、皆様も食べたことはあるでしょう?

 え?マヨネーズやケチャップは違う気がする?

 この二つには『酢』という発酵食品が使われています。

 発酵食品を使用した、調味料と言えるのではないでしょうか。



 さて、では続いて。

 皆さんは、この食品を作ったことがありますか?


 あると言う方は、意外と沢山いるのでは?

 味噌とか、自宅で作る方は沢山いらっしゃいますでしょうし。



 でしたら、ワインを作った方は?酢を作った方は?

 意外と、コレは少ないのではありませんか?


 ワインは種類にもよりますが……

 簡単に記すと、ジュースを発酵させれば出来上がると聞きます。


 次に酢。

 此方はワインやお酒を発酵させると『酢』が出来上がると言います。


 ですが、残念なことに。現代では簡単ではありません。

 例えば、市販品のジュースやワインを利用して……と言いますが。

 難しいでしょう。


 多くの市販品の物には発酵を阻止するため、すでに処置されているからです。

 発酵に必要な各微生物の働きを抑え込んでいるためです。


 ただ、其処ら辺は今のご時世。

 酵母や、酢酸菌を用意出来れば、また作れるそうですが。


 ただ、何度も言いますが、それは今のご時世。

 モノがあふれ、知識が溢れる時代だからこそ出来る事でございます。

 


 ――……では、ここで。

 今現代では無かったら?

 培った知識がない。謎の多い異世界だったら?

 いえ、ゲームの世界ですが。


 何方にせよ。

 この発酵という変化は、どう見られるでしょうか。

 何処まで進んでいるのでしょうか?

 少なくとも、現代の技術は借りる事が出来ないのは確かです。


 知識はあっても「0」に等しいですから。

 我々が培った物を、もう一度手探りでなぞるのですから、大変の一言でしょう。


 でも、私。ジュリアンナ・フランソウワーズは思うのです。



 ――そんな「未知」だからこそ、楽しいのだと!



 「あああ!!見て!!成功だわ……じゃない、ですわ!『酢』の匂いがしはじめましたもの!」


 なので、今日も私は瓶を手に、高らかに叫ぶのです。

 初めて体験することになる、この「発酵」と言う体験に。


 恋愛より、楽しいと思えるこの現象に。私は心を躍らせるのです。


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