第12篇 社会不適合者

社会不適合者の僕は ただひたすらに逃げ出したいんです

僕には 僕以外 誰もいないから

社会の荒波どころか その手前のごつごつ浜辺で躓いたんです

きたない きたないと 文句をたれながら

一番きたないのは誰か 考えたこともなかったんです

苦しい 苦しい 鎖を首に巻きながら


それでも僕は このレールの上で ひとりっきりで

歩かないといけないんです


社会不適合者の僕は 寂しいなんて言わないんです

寂しい 寂しいなんてそんなわけないから

僕のことを 支えてくれる 人もいたけれど

去ってく 僕には ここはまっすぐ過ぎたんだ

曲がりくねった体 歪んだ頭 醜い心だけ残って

レールが 冷たい 独房に見えたんです


だから僕は この世の全てから 逃げ去りたいと

渇いた声で言うんです


社会不適合者の僕は ひとりで歩かないといけないの

脇の小砂利を 黙って蹴飛ばしながら

社会不適合者の僕は ひとりで歩かないといけないの

僕が 消えても 誰も気に留めやしないから


シャカイフテキゴウシャノオマエハ ヒトリデキエテケバイイノ

オマエノ コトナド ダレモキニトメヤシナイカラ

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