第034話 神速でお金を稼ぐ方法③ 〇〇ホイホイ大作戦
俺たちはそのまま採掘を続けて金属を集めていく。でも、それだけじゃない。
『皆さん、こんにちは!! コレットのマジカルチャンネルにようこそ!! 今日も皆さんに不思議な世界をお見せしちゃいます。今日は昨日よりも凄いかも!! 今日お見せするのはなんと!! 小惑星をインゴットにしちゃうマジックだよ!!』
今やっている作業も生配信することにした。コレットがあれだけ驚くなら、当然他の人たちも驚くに決まっている。配信しない手はない。
今日はフリフリの魔法少女風の衣装ではなく、ピッチピチのボディースーツ型の宇宙服で撮影している。
俺はインビジブルで姿を隠して彼女の傍に待機していた。
"10ユラ:二日連続でコレットちゃんを見れるなんて幸せ"
"20ユラ:ピッチピチでエッチ"
”50ユラ:もうホントありがとうございます”
"今日は負けないからね"
今日もスパチャは絶好調。昨日の生配信の影響で、たった一日ですでにチャンネル登録者数が百万人を突破した。SpaTubeのトップページでも紹介されるほど人気、かつ期待の新人配信者として取り上げられている。
そして、今日の閲覧者は最初から数百万人を超える人たちがこの配信に集まっていた。
『今からインゴットにしちゃう小惑星はこちら!!』
コレットが小惑星に手を当てると、遠景が閲覧者に写る。
"いやいや、それは無理だって!!"
"それを超えてくるのがコレットちゃんなんだよなぁ"
"100ユラ:今日も成功祈願"
"あの小惑星をインゴットにはできないよなぁ……"
昨日のリペアの回よりも否定的な意見が多い。でもそれでこそ、その意見を覆した時に、彼らをファンに引き込むチャンスだ。
そして、成功するのは分かっている。勝ち確の勝負は楽しいなぁ!!
『今日は、信憑性をあげるために第三者に協力してもらいます。マテリアルギルドのアメリアちゃんです!!』
『よ、よろしくね』
コレットの紹介の後、カメラに向かって手を振るアメリアが写る。彼女がカメラで自分を映しているような形だ。
今日はアメリアにも参加してもらった。第三者が入った方がより信憑性が上がると思ったし、美少女が二人ならチャンネル登録数がさらに伸びると思ったからだ。彼女はギルドの船で来てくれている。
"やっばっ。別の美少女きた!!"
"うわっ。めっちゃ好み!!"
"美少女二人とか、飯うま"
美少女が増えたことで、さらにコメントとスパチャが加速する。
『アメリアちゃんには、遠くからの撮影を担当してもらうよ。それじゃあ、いっくよー!! 皆、よーく見ててね!! リファイン!!』
コレットが手を当てて魔法を唱えると、同時に俺が後ろで魔法を発動させる。そして、遠景が写し出されて、数秒ごとに小惑星が縮んでいく映像が流れた。
"え、これマジ?"
"おいおい、コレットちゃんって一体何者なんだ?"
"1000ユラ:コレットたん、マジ神……"
閲覧者たちはその意味不明な光景に呆然となる。
『なにこれ……』
呆然とするアメリアの声が配信に乗った。
"アメリアちゃんも知らなかったんだ"
"これってマジってことじゃない?"
"演技だよ、演技"
それによって、信じ切れなかった人たちも一定数意見が傾き始める。頑ななアンチは認めようとはしないけどそれは想定内だ。
『はい、この通り!! あーんな大きな小惑星が、こーんな小さなインゴットになっちゃいました!!』
遠景からコレットの傍の映像に切り替わって、コレットの隣に一メートル四方くらいの立方体が映る。
『それじゃあ、今日はちょっと速いけど、そろそろ終わりにするね』
少し話をして、コレットが配信を締めようとした。
――ピカッ
しかしその時、コレットの傍を光の筋が横切った。
「来なすったか……」
俺は思惑通りの展開に一人呟く
今日は配信で稼ぐことが目的ではなかった。俺には別の目的があった。
『あれは、宙賊!?』
アメリアのカメラに切り替わり、彼女の声と共に複数の宇宙船が表示される。
そう。それは宙賊を集めることだ。
"逃げろぉおおおっ!!"
"コレットちゃん、アメリアちゃん、逃げて!!"
"おい、宙賊ども、コレットちゃんに手を出したら分かってんのか!!"
場がさらに盛り上がる。
こいつらは金目のある場所に現れる。だから、この辺りでコレットが採掘するという情報を流してもらった。
そうしたら、奴らは案の定くらいついた。しかも四方八方からいくつもの宙賊船が近づいてくるのが分かった。
『大丈夫だよ、皆!! 私に任せて!! ホーミング・レイン!!』
コレットを映すカメラに画面が切り替わり、彼女が魔法を唱える。
すぐにアメリアの画面になり、コレットの周りから光の曲線が飛び出して宙賊船に向かっていく光景が映し出された。
そして、宙賊船が光線を躱しきれずに次々と撃墜されていく。
「次はちゃんと宙戦をやるから、今日の所は俺たちのために死んでくれ」
これも俺の魔法だ。ターゲットにロックした相手を自動追尾する複数の光線を放つ魔法。彼らはなす術なく倒されていった。
"コレットちゃん、ヤバすぎ……"
"どこにこんな逸材が眠ってたんだよ……"
"もう俺、アンチ止めます"
さらに愕然とする閲覧者たち。
コレットが誘蛾灯となったおかげで、どんどん宙賊が集まってきて、気づけば辺りは船の墓場と言えるほどの残骸が漂う空間になってしまった。
『ふぅ……これで悪い宙賊も居なくなったから安心してね!! それじゃあ、今日はここまで!! また次回に会おうね!! ばいばーい!!』
コレットが一息ついた後、閲覧者たちに笑顔で語りかけ、配信を終了させる。
そして、ここからが今日の本番だ。
「リペア、クリーンッ」
俺は宙賊船の残骸たちに魔法を掛ける。数十秒後、辺りには新品同様になった宙賊船が数百隻並んだ。
これだけの船と、彼らの航行データを売れば、相当な金額になるはずだ。
宙賊ホイホイ大作戦、大成功だな。
『もうわけわかんない……』
呆然とするアメリアの通信の声が俺の耳朶を打つのであった。
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