第033話 神速でお金を稼ぐ方法② 採掘???
「それで、いったい何をするの?」
俺とコレットは宇宙船の前にやってきた。
「それは、採掘するんだよ」
「え、そんなこと? それじゃあ、間に合わないよ?」
俺の答えに拍子抜けしたような表情をするコレット。
「当然、普通に探索するわけじゃない」
「何をするつもり?」
「俺たちだけのアドバンテージがあるだろ?」
全然分からないというコレットに、ヒントを出してやる。
「もしかして魔法?」
「そういうこと」
コレットの言う通り、俺のファンタジーパワーを最大限駆使すれば、かなり短い期間でとんでもない金額を稼ぐことができるはずだ。
幸いコレットの船も直ったし、それで採掘にいけば問題ない。
「ということで、すぐに出発しよう」
「分かった!!」
俺とコレットはすぐに船に乗り込んで宇宙に飛び立った。
「まず最初にやることはこれだ。魔力を全力でつぎ込んで……マテリアルサーチ!!」
船を中心として俺の探知領域がどんどん広がっていく。その領域はコロニー周辺から、星系全体まで広がった。
頭の中に星系の地図が浮かんでくる。そして、資源になりそうな鉱物がありそうな場所が明るく光り出した。光には白、青、緑、赤、黄色の五つの光がある。
光が強ければ強いほど量が多い。色は、白が一番価値が低く、黄色が一番価値のある鉱石が眠っているとされる場所だ。
近くには残念ながら、あまり高い価値の鉱石はなさそうだ。白色か青色ばかり。でも、ゲンゾの採掘でもそれなりの金額になっていた。量があれば大丈夫なはずだ。
青色の金属から狙っていこう。
「宙域マップを出せるか?」
「うん」
コレットが端末をいじると、窓の前にこの辺りの地図が表示された。
「この辺りを目指してくれ。近くなったら直接誘導する」
「任せて!!」
俺の指示に従ってコレットは全速力で飛び始める。
しかし、このままのスピードでは三日であれだけの金額を稼ぎ出すのは難しい。
「コレット、申し訳ないけど、しっかり掴まっていてくれ。プロテクション!!」
俺はコレットに指示を出して、船の強度を上げる魔法を唱えた。
これにより、船はかなり頑丈になったはずだ。
「な、なにするの!?」
「下を噛むなよ!! インパクト!!」
コレットは俺の言葉に焦る。
しかし、構っている暇はない。今は一刻一秒を争うとき。
俺は衝撃波を放つ魔法を発動した。
――ドゴォオオオオオオオオオンッ
「きゃああああああああっ」
「くっ」
船の背後で凄まじい爆発が起きると同時に、船に衝撃波が襲い掛かる。それによって船は最大速度以上のスピードで進んでいく。
ただし、その揺れと俺たちに掛かる重力がかなり激しいものとなった。でも、これを繰り返すことで、目標までかなりの時間短縮できるはずだ。
「コレット!! 着くまで我慢しろよ!!」
「うん、頑張るよ!!」
俺はスピードが落ちる度にエクスプロージョンを使うことで最速で目的地にたどり着くことができた。
「はぁ……はぁ……おろろろろっ」
その結果、コレットはひどい乗り物酔いになってしまった。俺はゲーム由来の最強の肉体を持っているせいか、全くそんな症状は出なかった。
「キュア」
「あ、すんごい楽になった!! ありがとう!!」
「いやいや、これくらい当然だ」
俺は病気や毒、呪いを治療する魔法を唱える。
それによってコレットの顔色はみるみる良くなった。
コレットはパァっと花開いたような笑顔を見せる。
「それで、どうやって採掘するの?」
質問するコレットの顔には、普通に採掘したら凄く時間がかかるよね、という疑問がありありと現れていた。
「それは俺がやる。あの小惑星に近づいてくれ」
「分かった」
やってみせた方が早いと、俺は目的の小惑星に近づいてもらい、宇宙服を着てその星に降り立った。
「リファイン」
これは生産職が使う魔法で、素材の鉱石から金属をだけを取り出す魔法だ。それにより、数秒ごとに小惑星は圧縮されていく。最終的に、十メートル四方の立方体くらいの大きさのキレイにインゴット化された金属になった。
『なにあれ!? すっごーい!! もう採掘という名の別の何かだよね!!』
通信からコレットが驚いている声が聞こえる。
小惑星の大きさは直径数キロメートルはあった。その星が十メートル四方まで小さくなったら、そりゃあ驚くだろう。
「テレポート」
俺は転移魔法でインゴットの近くに移動した。
それによって、小さくなって離れてしまった金属までの推進力を得る。
次の出番はこいつだ。
「アイテムボックス」
アイテムボックスには質量や大きさは関係ない。一つのアイテムは一つとして枠の一つを埋めるだけだ。
金属に辿り着いた俺がオレルスのインゴットに手を触れると、アイテムボックスに吸い込まれて姿を消した。
『えぇええええええええ!? インゴットはどこに行っちゃったの?』
コレットがさっき以上の大声で叫んでいる。
多分目ん玉が飛び出そうになっているに違いない。
「大丈夫だ。俺しか使えない魔法で仕舞っている」
俺はコレットに安心させるように一度出して、もう一度仕舞ってみせた。
『魔法って本当になんでもできるんだね……』
コレットは呆然とした声色で呟く。
俺は船に転移して、次の目的地を目指したのであった。
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