26

服を着たボクはミキの亡骸にタオルケットを被せ、お姫様抱っこしながら庭へと出た。眩しい太陽の光がボク達を優しく包み込んでいた。


「ミキ、見てごらん。今日は雲一つない青空が広がっているよ。まるでボク達の新しい門出をお祝いしてくれているようだね!」


木の下に行き大きく掘った穴の中にゆっくりとミキの身体を置いた。


「・・・お別れの時間だよ。」


ボクは神聖な気持ちで最後にミキを拝んだ。


もし、生まれ変わったとして・・・また別の形で君と会えたら嬉しいな。


ボクはスコップを持ちミキに土をかけ始める。


そして、ようやく穴が塞がったその時だった。


「黄田川・・・サトル様ですね?」


振り向くとそこには黒いマントに白い仮面をつけた集団が立っていた。


「・・・・・あれ?」


ボクはその場でスコップを置き、首を傾げた。


「おかしいなぁ・・・ボク、どうなってもいいと思っているから証拠とか特に隠してこなかったし・・・いつか捕まるとは思ってたけど。もし捕まるなら警察の人かと思ってたのに。」


微動だにしない白い仮面の集団を見てボクは確信していた。


この人達は全員、人を殺した事があるって。


「黄田川サトル様、貴方はこの度、我々の新しいデスゲームに参戦が決まりました。つきましては・・・私達とご同行願えますでしょうか?」


「・・・・・。」


どうせ嫌だって言っても連れて行く癖に。


ボクは大きなため息をついた。


「・・・いいよ。その代わり何処にも逃げないから少し時間をくれないかな。お風呂に入りたいし、それに・・・一番は姉さんとちゃんとお別れしてこないとね。」


白い仮面の集団はそれを聞いてコソコソと話し出した。


「そんな事は例外過ぎます!さっさと連れて行きましょう!」


「でも逃げるつもりは無さそうだし、少しくらい待ってあげても・・・。」


その中で一人だけ黙ってそのやりとりを見ている白い仮面がいた。


・・・この人がリーダーなのかな?直感でそう思ったボクはその仮面に向かって言ったんだ。


「ボクの胸ポケットには毒薬が入っているんだ。姉さんを殺した時と同じ物だよ。その日から御守りとしていつもここに入れているんだ。もし・・・時間をくれないと言うのなら・・・貴方達に殺されるのも嫌だし、そのデスゲームにも気が乗らないからここで死ぬよ?・・・いいの?」


すると黙っていた白い仮面はボクに拍手をしてきた。


「・・・素晴らしい。この状況で私達に強気に出来るなんて・・・さすが、肝が据わっていますね。それでこそデスゲームの参加者に相応しいです。わかりました。別に急いでいませんので今日の夜九時までお待ちましょう。私達はここで待機しておりますので準備が出来たらこちらにお越しください。ただし、恐れ入りますが時間を過ぎるような事があれば少々手荒な真似をするかもしれません。その時は・・・貴方が自殺しようがご遺体を回収するまでです。」


「・・・そう。ボクも疲れたから少し寝たいしね・・・じゃあまた後で。」


そうしてボクはヒラヒラと手を振りながら家の中に戻っていった。

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