20【ミキ視点】

サトルさんのおうちは本当に女の子が誰しも憧れるであろう小さなお城のようだった。


彼が放つ可憐なオーラはこの建物で大きくなるうちに育まれたものなんだろう。


サトルさんが王子様なら・・・私はお姫様に・・・これからなれるんだろうか?一抹の不安は消えないまま導かれるように玄関へと歩いた。


すると途中ふと庭にあった木が目に止まった。


・・・・・大きな木だなあ。


暗闇で全貌はよく見えなかったけど不思議と何かが私に訴えてきているような気がした。


・・・なんだろう、この感覚。


でも植物だって生きているんだし、パワースポット的な木の力がそう感じさせているのかと自分を納得させた。


今考えると被害者の女性達が私に必死に伝えようとしてくれてたのかもしれない。この先に進んではいけないと。もし私が霊感とかが強かったら、結末は違っていたんだろうか・・・。


お茶を淹れてもらい告白されたときは本当にすごく嬉しかった。目の前にいるキラキラしたサトルさんがちゃんと言葉にして好きと言ってくれた。正式に付き合って欲しいと言ってくれた。夢でも見てるみたいという言葉そのままをあの時体感したんだ。


「あの・・・こんな私でよければ、宜しくお願いします。」


ソファでサトルさんにキスをして抱きしめ、頭を撫でてもらった時、どうして今日はここまででと言えなかったんだろう。手を繋いで寝室に誘われ、ベッドを見た時には足がすくんだ自分がいたというのに。


出会ってからここまでの期間は短すぎるという自覚はあった。でも、ちゃんと告白の言葉があって付き合い始めたという事実が先程の会話で作られた。


私もサトルさんももう立派な大人。サトルさんに抱かれるのは嫌じゃない・・・でも。


「サトルさん・・・私」


迷いがあったけどベッドの上でサトルさんと視線が合いキスをした後、ローズの香りに包まれながら押し倒された時にはもう理性が吹っ飛んでいた。


ああ・・・もうどうなってもいい。


覚悟を決めてサトルさんに身を委ねた。


身体的な快楽はもちろんのこと、私が一番やられたのは視界的快楽だった。


サトルさんの綺麗な顔、身体、妖艶な舌が私の身体に触れている。その事実が私をより一層気持ち良くさせたんだ。


「・・・ゆっくりいくよ。深呼吸して、身体の力を抜いてね。」


サトルさんの温かい一部が私に少しずつ浸透してくる。全てを飲み込んだ時、自分の中で何か大切なものを貫かれた。


「・・・痛くないかい?」


「・・・・・ハイ・・・。」


揺れる視覚の中でサトルさんは恍惚な表情で私を見下ろしていた。


・・・この時間がずっと続けばいいのにな。肉体的にも精神的にも満たされた私はこの時幸せの絶頂だった。


サトルさんが枕に顔を埋めている時も何を考えているかなんて思わず、ただ愛しく抱きしめていたんだ。


「サトルさん・・・。」


そうしてサトルさんが果てると共に、あっという間に全身の力が抜けていき私は夢見心地のまま意識を失った。











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