プロローグ:用語解説

今回は用語解説です。




【死なずの呪い】

文字通り決して死ななくなる呪い。

ただし傷は負うし部位は欠損するし痛みもある。

確実に死んでから肉体が再生を始め、呪いを掛けられた時点の姿に戻るという命を冒涜する呪い。

本来ならば呪った相手が死ぬ、あるいは定められた年月が経つ、指定された回数だけ死を経験すれば呪いは解けるのだが、主人公の場合は神の代行者である聖職者が呪いを掛けて、そして元の主人公に関わる文書を全て焚書されたために、掛けたのは神であると判定され指定された年月や回数が消え失せたため呪いが解ける事なく数百年死に続ける地獄になった。

なお主人公が人間を止めて呪いの概念を扱う化け物になったので現在はこの呪いに掛かっていない。



【呪い背負い】

龍峡の近くで呪いの奔流を受け続ける存在、ではなく呪いという存在をその体に吸収し続ける存在の事。

吸収しているからと言って呪いの影響が無効化される訳でもなく、当たり前のように苦しみは受け続けるので数百年も呪い背負いであり続けられる生物は世界中の何処を探してもいない。

継承という形で誰かに受け継ぐ事もできるし、呪い背負いがいなくなったから新しい者が呪い背負いに自らなるという事もできる。

ドラゴンが代々続けてきた呪い背負いは後者の手段で、主人公の場合は前者の手段である。

なお呪い背負いとして死んだ場合にはその体は皮膚の一片すら残る事なく全て溶け消える。だから主人公がいた場所にドラゴンの死体が転がっていなかった。



【呪いの奔流】

呪いが濁流のように形を持って流れて来る現象。

龍峡でしか起きない現象ということはなく、普通に呪いが溜まっていたり怨嗟が積もっている場所ならたまに発生する現象である。龍峡の場合はその密度と規模が異常なだけである。

普通の生物が遭遇した場合、逃げれるのならば逃げ、逃げられないなら辞世の句を考えるしか無く、呪いに耐性があったり呪いを無効化出来たとしてもそれらを貫いて魂に直接呪いが叩き込まれるため無駄である。

発生の時期は特に決まっておらず特殊な場合を除き、出会ったら不幸だったぐらいに考えるしかない。

なおその特殊な場合に該当するのは、神の死体から呪いが垂れ流されている、だけである。



【龍峡】

龍王の力が染み渡り、無数のドラゴンと龍王の血と骸が大地と融合した強大な場所。

垂れ流されている龍王の力が常に広まり続けているため、生き続けられる者は龍との親和性が高い者だけ。

つまりはドラゴンだけがこの地で生き続けられる。

そしてこの地で生まれ、この地で育ったドラゴンは常に龍王の力を取り込んでいるため食事も睡眠も呼吸も必要としなくなるが、龍峡の外に出て生きようとした場合同じだけのエネルギーを得ようと数多の生物を襲い、そして自我を失っていく。

ドラゴン達にとっての聖地であり、牢獄でもあるのが龍峡である。とはいえ神骸があった呪いの地が無くなり、食事を楽しむ文化が出来たのでかつての戦いだけの牢獄では無くなったので生きやすい場所ではある。

なお自ら望んで外に出る者もおり、そういった者は外の世界でドラゴン以外の何かと交わり己の血を残したりもしている。



【純血】

純粋な血統であり、そこに一切の混じり気が無いという事。龍峡という特殊な空間で、親から子まで総じて同じ力を取り込み続けているが故に龍峡のドラゴンは進化する事なく、純粋なドラゴンの血統である。

それ故に龍峡のドラゴンは高貴であり、彼らは見知った人間以外と関わる時はその高貴さを大切にして、その立場に適した相応の対応を取る。

純血の生物は決して傍若無人ではない、彼らは総じて王の格を持っているのである。



【お見合い(龍峡型)】

お見合いといえば男女が出会い、会話してから婚姻を考える物であるが、龍峡ではそうではない。

龍峡でのお見合いは求婚した男又は女が求婚された相手と正面から戦い、求婚した者が勝てば婚姻を結び、求婚された者が勝てばお見合いを破棄するという儀式である。

複数の男や女が同じ相手に求婚した場合、その時は求婚した者達で戦い、その勝者が正式に求婚する権利を得て、それからお見合いをする事が出来る。

とち狂った儀式だがそれで生まれる子は強い子が生まれ、男女関係で揉める事も尾を引く事も無くなるのである種、利に適った儀式ではある。

とはいえ強引に儀式が始まる事も、勝手にお見合いが始まる事はない。大農園のテーレなどはそもそもお見合いを受けずに断り続けている。



【継承の儀式】

文字通り力、地位、種族を継承するための儀式。

継承の方法は戦いであり、継承を為すにはその力などを望む者が現所有者を殺し、その心臓を喰らう事で儀式は完遂されて継承は為される。

例として龍王を継承する場合、現龍王と挑戦者が戦い龍王に打ち勝ち、殺し、その心臓を抉り出した上で喰らう事で挑戦者が新しい龍王となる。

なおドラコーの血によって引き起こされる継承の儀式は擬似的な継承、つまりは継承の儀式では無い。



【アンデッド化】

死者が現世に強い願いを持ち続けた結果、その骸がアンデッドという存在に変化するという現象。

例として盗殺された人間が、その殺した相手を強く憎み続けると殺された人間の死体が状態を問わず起き上がり、憎悪による復讐を遂げるまで動き続けるゾンビやスケルトンのようなアンデッドになって動き出す。

その死者の生前の力によってアンデッドになった時の脅威は変化し、その本質は肉体に宿っている訳ではないので肉体を滅ぼすだけでは止められない。

止めるにはアンデッドになった理由である願いを叶えさせる、もしくはアンデッドになる前の名前を知りそれからアンデット化した後の姿に名前を付ければ止めることが出来るようになる。

なお全ての死者がアンデッドになる訳では無く、魂を悪魔に捧げてでも叶えたいと強く願う者の一部だけがアンデッド化という現象を引き起こせる。



【魔法原石】

簡単に言うと質量と硬質性を持った魔法。

具体的に言うならば金や鉄、チタンなどの鉱物を採掘し鉱物部分だけを抽出し、その抽出した物に魔力を適切かつ均等に混ぜ合わせ、採掘時に取れた岩や土、砂などで外殻を覆って作り出される原石である。

一番の性質としては魔力を流せば思い通りの形に変化すると言う性質を持ち、これを使って武具に加工すれば何にでも所有者が思う通りの形に変化する武具が出来上がる。

なお余談だが龍峡での利用先は専ら家具である。持ち運び可能な冷室やキッチンに変化させられるので料理をするドラゴンは基本的に持っている。





【ドラゴン、龍、龍王の呼称の違い】

簡単に言うとドラゴンは人間、龍は◯◯人と言った違いである。例えば不特定多数の誰かを示す時はドラゴンと呼称、名前を知らない誰かを示す時は赤龍や黒龍といった呼称になる。

龍王はそのまま龍王であり、同時に二名以上存在しないため龍王と呼べば特定の個人であり、同時に龍王の真名を無差別に呼ぶ事は不敬であり、それ故にドラコー以外の全員が名前を呼ぶ事なく龍王陛下もしくは陛下と呼称していた。

まだ作中では出て来ていないが龍峡の外のドラゴンを示す場合龍ではなく、竜と示される。その理由としては龍王の力を吸収して育っておらず、本質的な力に圧倒的な差があるから龍ではなく竜と示される。




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取り敢えず解説はこんな感じです。

次回からは一章に入っていきますので、よろしくお願いします。

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