不死になった元人間だから出来る悪足掻き
「最後のやつの真相?」
「うむ。確かに上空に投げ飛ばし、ブレスまで叩き込んだんだが、どうして地上にいた?」
「あーー」
あの悪足掻きについてー?
まじでズルみたいな手段だし、二度目は絶対に無い手段なんだよなぁ。そもそも俺ぐらいにしか出来ない様な動きだし!
「まず上空に投げられた時点で、死んでたんよ俺」
「そうなのか?」
「そらそうよ、お前の防御をぶち抜くのにリソース全部回してたから、投げられた時に耐えるだけのリソース残ってる訳が無い」
「ふむ、それでどうしたんだ?」
「まぁ知っての通りノータイムで蘇生が出来るから取り敢えず体の制御をしてたわけ。そしたいきなり黄金の輝きが俺の視界を埋め尽くしたのよ」
「うむ」
「まぁそこからひたすら塵になっては再生してを繰り返してたんよ、いつまで続くんかなーなんて思いながら」
「何もしなかったのか?」
「出来なかったんよ、出来た事と言えば、塵になって再生するまでの一瞬に少しだけ体を逸らす事くらい」
「ほう、それはつまり」
「全力で体を逸らしてブレスの範囲から逸れて、地面に俺を塵にしながら叩き落として、再生と同時に地面の上に残ってた俺の魔法の搾りかすを鎌に作り変えて、それを全力で振り抜いたのが真相よ」
「………そうだったのか」
すっごい単純な事だろ?
まぁ正直に言うなら鎌を振るだけの気力も無かったから、リーズィの体に付いた呪いの残滓を辿って其処に切り傷を無理矢理作り出したんだけど。
そもそも鎌を振ったところで傷にもならんだろうし。
呪いだから普通に体にぶつけたら霧散するし。
「うむ、その不死性は如何にもこちらの思考を超えてくるな」
「正確に言うと不死じゃなくて、蘇生と再生のループなだけどな。あれって死ななきゃ発動しないし、消滅しないと発動しないんだよなぁ」
「そうなのか?」
「そうだよ? 四肢が消し飛ぼうが、全身の神経を焼き尽くされようが、命が止まってなければ発動しないよ。まぁ動けなくなったら、自分で体内操作して強引に死ねるから、任意で発動する事は出来るけど」
「むぅ、超えられんな。仮に戦場でお前と戦う羽目になるのならば、俺はお前を無視するしかないな」
「わはは、まぁ単純に戦いたくないのは俺も同意するよ。だって俺も俺の相手をしたくないし」
「次やる時は、蘇生回数に制限を掛けるか」
「じゃあお前はブレス禁止だな」
「そうなるのか?」
「当たり前だろ、蘇生制限でお前のブレスに対応出来るわけ無いよ」
一桁回数の蘇生制限なら、俺に攻撃の番は回って来ないけどな。五千くらいで対応はしても、抜けた魔法全部無視して死んでたし。二桁なら、まぁかろうじて攻守交代出来るくらいかな? 三桁あると一応ブレスが来るまでは似た様なことが出来るかな?
ブレスに関しては、あれ何回死んだ? おそらく数千は簡単に逝ったし、多分一万ちょっとくらい?
まぁどうでもいいか。きっともうしばらくはリーズィと真正面から戦う事はない。仮に次があるなら、俺は隠れて不意を打つわ。
あ、そうだ
「リーズィ、三日後くらいには旅に出るわ」
「む、もう行くのか?」
「おう、自衛の手段も手に入れたし、旅に出た上で役に立ちそうな物も集まってるしな。
色々と挨拶したり、受け取る物受け取ったら出発だな。多分それで三日くらい経つと思うし」
「そうか、もう此処には戻らないのか?」
「旅に出た先で良い場所が見つかったら戻らないな。
まぁ仮に別の場所に定住が決まっても、挨拶には戻って来るよ。お前にはかなり世話になったしな」
「うむ、そうか。であるならば、相応に祝う必要があるな。出立前夜には宴でも開くか?」
「あー、そこまでしなくていいんだが、俺が何を言ってもやる気だろ?」
「うむ」
「なら、お前に任せる。お前が満足するような形でやってくれ」
「む、そうか。であるなら、任せるが良い。
お前が出発を惜しむくらいに豪勢な宴をやってやる」
「そうか、それは楽しみになるな。
それじゃあ俺は諸々の準備に取り掛かる事にするよ」
「うむ、俺も宴の準備をする事にしよう」
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