ダンジョン・ゴールドラッシュ✨～ダンジョンに興味がない無気力なオッサン、先祖の埋蔵金掘ったらダンジョン出てきたのでとりあえず配信してみる。普通に攻略してただけなのに、なぜか不本意ながらバズって困ってる

第13話 ダンジョン探索者

　俺は戦利品を売るために、再び東京へ来た。

　友人の牧篠（まきしの）幽而（ゆうじ）の経営する、換金商へやってきた。

「よお、牧篠。また来たぞ」

「おう矢継早か。それで、今回はなんだ」

「まずは魔石だ」

「鑑定させてもらおう」

　俺は牧篠に魔石を全部手渡した。

　そういえば、この前の魔石は全部年代が１７００年代のもので、買い取ってもらえなかったな。

　今回はどうだろうか。

「今回の魔石は全部で２００万だな」

「２００万……！？　そんなにか……！？」

「ああ。お前、いったなにを倒したんだ？　こんな大きな魔石はめずらしいぞ」

「なにって……ゴブリンだが……」

「ふぅん……まあ、よほど大勢のゴブリンを倒したんだな」

「まあ、群れだったな……」

　にしても、ゴブリン15匹で200万も貰えるとはいい儲けだ。

　スライムの魔石もちゃんと売れた。

「今回の魔石は年代は大丈夫なのか？」

「ああ、どれも現代のものだ。この前の魔石だけだな、おかしいのは」

「そうか……」

　この前の魔石は、ダンジョン妖精が直接召喚したスライムから出たものだった。

　だからだろうか。

　ダンジョン妖精は大昔の存在だ。

　ダンジョン妖精の連れてきた魔物も、昔の魔物だったのかもな。

　どうやら普通のダンジョンで出てくるモンスターの魔石は、普通に買い取ってもらえそうなので安心だ。

「それから、ゴブリンの剥ぎ取り素材だ」

「おお……！？　でけえな……」

「そうか……？」

「ゴブリンキング並みだぞこの大きさは……」

「普通のゴブリンだったがな……？」

　ゴブリンキングなんか俺の手に負えるわけもない。

　ゴブリンの耳は全部で50万で売れた。

「それから、またスライムのコアだ」

「おお、この前のと同じだな。それにしても、お前の持ってくるスライムコアはすごいな……状態がいい」

「そうなのか？　俺には違いがわからん」

「こんな大きなスライムコアは始めてだ……」

　スライムコアもまた50万ほどで売れた。

　よって、全部で３００万ほどになった。

「このスライム、なにか他のスライムと違うところはなかったか？　あまりにも妙だ」

「とはいってもな。俺は他のスライムを知らないからな……。あ、そういえばスライムを倒すとレベルが上がったな」

「おい……まさかとは思うがそれ、金属スライムなんじゃないか？」

「どうだろうな。まあ、普通に素手で倒せたぞ」

「じゃあ……金属スライムではないな……まあいいや」

　まあ、俺は素材を買い取ってもらえればそれでいい。

　それに、あそこは初心者向けのダンジョンだって、ダンジョン妖精も言っていた。

　初心者向けのダンジョンに、まさかそんなゴブリンキングや金属スライムがいるはずがないだろう。

　俺はそのあしで、今度は武器屋に行った。

　武器屋ではAK４７のフルカスタムを200万で買った。

　残りの50万で貫通弾を買い、さらに残りの50万で防具の装甲を強化した。

　そして、京都へと帰還したのである。

　◇

　京都へ帰ると、玄関に美玖のとは別の靴があった。

　もしかして、お客さんか……？

　京都の家の鍵は、美玖にも預けてあった。

　もし俺の留守中に、ダンジョン探索者がきたら、美玖に対応してもらえるようにしてあったのだ。

　靴があるってことは、誰かダンジョン探索者が来たってことなのか……！？

　俺はいそいでリビングに行く。

　そこには、赤い長髪をした20代くらいの女性が座っていた。

　美玖が女性の相手をしている。

　美玖が俺に気づいた。

「あ、お兄ちゃんお帰り。お客さんやよ」

「お客さん……あ、どうも」

　女性は俺に振り返ると、俺のことをきっとにらみつけた。

「私は文埜（あやの）殺（あやめ）。あなたの埋蔵金ダンジョンを攻略させてほしいの」