第12話 現状維持の術

さて、残る拠点の維持の方法として考え付いた中で最後の方法である現状維持の術を行うとしよう。


[現状維持の術]

時間の経過を停め、現状を維持するための術。密閉できる空間でのみ使用可能。密閉状態が解かれると自動で解除される。この術の使用には大規模魔法1発分の魔力が必要。この術1回での効果範囲はおよそ1000立方メートルである。


しかし、この現状維持の術は使い勝手があまり良くない。

なぜなら、膨大な魔力が必要となるが簡単に解除ができてしまい、常に使うところでは役に立たないからである。また、生物が中に居る状態でも使用できないようである。というわけで、現在使っていない地上2階から上に掛けるとしよう。私の寝室と自室は地下3階にあり、ゴ-レムの製作を行っていた作業部屋やお風呂、実験室も地下3階にあるため、私が使っているのは基本的に地下3階だけである。しかし、地下2階には食糧庫と巨大冷蔵庫、冷凍庫が、地下1階には厨房と未来の食堂があり、外に畑がある都合上1階はゴ-レムの出入りに使っているのですぐに解除されてしまう。しかし、2階より上にはパ-ティ-会場として使えるような大部屋や来客が来た際に使ってもらう部屋などがあるだけで現在使う予定は全く無い。このため2階より上が使えなくなっても全く困らないのである。

とは言え、膨大な魔力が必要であり、現在の私の魔力量ではとても1日でまとめて掛けることができないため2週間かけて行うことにしよう。


2週間後、まだ掛け終わって居なかった。理由は調子にのってとても巨大に作ってしまったことと、空調設備をすべての部屋に着けたことにより厳密に密閉されている空間になっていなかったこと、正面玄関から入って直ぐのところに3階までの吹き抜け空間を作ってしまったことである。したがって密閉された空間という条件を満たすためにすべての階の間に結界を張る必要ができてしまい、ただでさえギリギリであった 魔力量が全く足りず、2日で1階分の予定が4日かけて1階分しか進まなかったためである。


かけて始めてから28日後、ついに2階~8階までの空間に現状維持の術を掛け終わったのであった。

この者はもう2度やりたくないと思うのであった。

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