6.その時本物がどうなっていたかは神のみぞ知る。
「いい?手は私が何かしらの指示をするまで、ずっと膝の上。目隠しは絶対取らない。守れるわね?」
「はい。仰せのままに」
その後。
俺は
なるほど、これならば確かに、俺は彼女の裸体を見ることはないし、風呂に入らないまま何日も過ごすことにはならないだろう。妙案だ。
ちなみに、何故か彼女は俺の身体を洗わせてくれない。そっちは自分で洗うとのことだった。おかしい。俺にだって恥じらいの気持ちがあるかもしれないじゃないか。
まあ実際は、自分で洗うよりも、見えないところで、咲花に洗ってもらう方がよっぽど……いや、何でもない。やめておこう。万が一口に出てしまったら最後、もしかしたら、再び精神が入れ替わったその日が俺の命日になってしまうかもしれない。
「それじゃあ……行くわよ」
視界が遮られる中、咲花(身体は俺だけど)が動く気配がする。やがて、柔らかなスポンジが、腕に当たる感触が伝わってくる。
「っていうかアンタ。今気が付いたけど、このシャンプーとかリンスとか、全部私が前、使ってたやつじゃない」
「あ、それはラジオで使ってるって言ってたから、その日のうちに揃えた」
「うわキモッ……」
酷い反応だった。でも何だろう。ちょっと興奮する。良かった、身体が女性で。風呂という状況下なら、分かりにくいだろう。何がとは言わない。その点、男はすぐにばれるからな。
俺が形而上の竿を固くしていると、咲花が、
「まあ、今これ、使ってないんだけどねー」
「え、なんで。俺、結構これ、お気に入りだけど」
「え、アンタこれ、気に入って使ってるの?」
「まあ、一応。最初は咲花さんが使ってるっていう理由で使い始めたけど、気に入ってるといえば気に入ってる、かな。まあ、違いなんてよく分からないけど」
「ふーん…………」
なんだろう。
咲花が何かに納得する。
その表情は残念なことに伺うことは出来ない。今俺が感じられるのは、彼女が俺の身体にあてがっているスポンジの感触だけだ。
やがて、咲花が、
「後で、教えてあげよっか」
「え、何を?」
「いや、だから。今私が使ってるの」
「え。マジ?」
「マジ。大マジ。こんなとこで嘘ついてどうするの」
「いや、だって、そんな、ファンが自分と同じシャンプーとか使ってるのって、気持ち悪いから教えたくないんじゃ……」
「普通はね。でも、アンタ、これ、気に入ってるんでしょ?」
「まあ、そんなに違いは分からないと思うけど、気に入ってるといえば気に入ってる、かな」
「ん。それなら今私が使ってるのも気に入ると思うから、後で教えてあげる。感謝しなさい」
「は、ははぁー」
その時。
咲花が笑った、気がした。気のせいかもしれないし、実際表情は見えないわけだから、「こんなんで喜んでるこの変態キモオタ」とか思って見下してるかもしれないけど。
まあ、それはそれで興奮するんだけど。ホント、竿が形而上で良かった。今俺の心の中では、トンデモサイズになって反り返った、形而上の、誇張表現の入りまくった竿が、
「わっ!?」
「な、なに?急に」
「い、いや……」
びっくりした。
びっくりして思わず大きな声が出てしまった。あまりの出来事に、形而上の二つの球がひゅんひゅんした。だって、
「あの……つかぬ事をお伺いするんですけど」
「うん……え、今更なんで丁寧語?」
「えっと……今触ったのは?」
「ああ、胸」
「ですよね!?」
「な、なによ」
いや、良い。良いのよ。咲花さんの胸は大変ご立派だし、それをきちんと丁寧に洗おうというのは素晴らしいだと思う。思うけど、いや、これは……
「何もないなら、続きやるわよ」
俺の戸惑いをがっつりと踏み荒らし、咲花さんの手……正確にはスポンジが、再び胸へと襲い掛かる。
「ひゃん!」
「な、なに!?」
「い、いや、ちょっと……びっくりしただけで」
「……はあ」
咲花さんはいまいち理解していないらしい。いや、ね。ほら。あるじゃない。胸とくれば。そこには当然、男性にもついている突起物が。それ以前にその、胸というか、乳房というか。それをこう。触られるっていう感覚が未知数過ぎて、なんていうかその、勃起してしまったんですよね……形而上のs、
「んひぃ!」
「うるさいわね。黙ってて」
「いや、そ、んな、こと……いわっ……れても……ひぎぃ!」
「うるさいわね。ちゃっちゃと終わらせるわよ」
咲花はそう言うと、勢いよく胸を揉みしだ……いや、スポンジを使って洗い、股間をまさぐって、竿を入れる準……もとい、隅々まで綺麗にし、最後にシャワーで洗い流したのだった。
「うう……もうお嫁にいけない……」
「いや、アンタは行かないでしょ」
そうだった。
いやでも、ホントにそんな気持ちになったんだよ、うう……
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