陣内さんの仕事
ノコギリマン
1
「それではご注文を繰り返します。ほうれん草のソテーが一点。以上でよろしいでしょうか?」
「はい。お願いします」
いつもと同じ受け答えを終えて、わたしはカウンターにもどった。
ホールスタッフのバイトをはじめて、もうすぐ半年。始めた頃からずっと、毎週月曜夕方の六時半ごろに、一仕事を終えてやってくる陣内さんの注文を取り続けている。
今日は、七時五十分だったけど。
「また、ほうれん草のソテー?」
先輩の色黒大学生、小俣さんが聞いてきた。
「そうですね」
わたしはつれなく言って、カウンター越しに陣内さんを見た。
ここからだと、冴えない見た目のただのおじさんにしか見えないし、いつも白Tシャツにチノパンだから、なんの仕事をしている人なのか、だれにも分からない。
わたし以外は——
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます