9385号ファイル 毛玉

高尾山周辺で発生していた行方不明事件の真相である肉塊と敵同士だったのが、エネルギーを放出する丸々とした体に毛が生えた小動物——通称毛玉。


先行調査に向かっていた戦闘部隊が毛玉を発見した時、調査のために近づいた隊員がエネルギーの放出による強力な渦により、負傷者が多数発生。

その後投入した調査用のロボットも同じように破壊。

攻撃範囲内に近づかなければ問題ない事は分かっていたので、近づかず超能力者を待つことに。


数時間後に超能力者二名、紅葉茜と間中最中が到着。

紅葉茜の能力により対話、そして研究所への勧誘は成功していた。

それとほぼ同時に現れたのが、敵対していた肉塊だ。


毛玉はエネルギー切れで気絶。

だが間中最中の活躍により、この肉塊は難なく撃破された。


そしてこの毛玉は紅葉茜との対話時に、光の匂いがすると言ったようだ。

彼女は先日運び込まれた人型生命体の事だと思ったらしい。私たちも彼女と同意見だ。


毛玉の能力であるエネルギー放出。その能力は彼から放たれていて、そして宇宙から極わずかに降り注ぐ高エネルギーの影響を受けて発現したと言っていいだろう。

だからこそ毛玉は能力の元となった高エネルギー、すなわち彼の匂いに反応したのではないだろうか。


毛玉の危険度は8とするが、現在紅葉茜らに懐いており、能力の使い方もよく理解しているため現時点ではレベル8階層への収容は見送っている。


もしかしたら毛玉も紅葉茜と同じように彼との接触で、能力が急成長するかもしれないが、経過観察を怠らないように。


敵対していた肉塊についてだが、既に生命反応が無いため個別にファイルを用意する必要は無くなった。

なので関連性の強いこのファイルへ記載する。


この肉塊は高尾山周辺での行方不明事件の真相であった事は間違いない。

間中最中との戦闘時に猿の姿から、人へと姿を変えた際の元となったのは行方不明者の一人だという事が記録映像の解析で判明した。

おそらく、殺害した生命体の姿を真似る事が出来るのだろう。

人に擬態して近づいて殺害した後に死体を取り込み、姿を覚える。

それを繰り返した結果が、この事件へつながっていると私たちは考えている。


擬態精度は低いが、取り込んだ死体の数だけ可能ならとんでもない能力だ。

加えて身体能力も高く、丈夫な体を持っていたことから、危険度は敵対していた毛玉と同じく8とする。

この値は中々危険な数値だったが、間中最中によって三分割にされ撃破。

その後死亡が確認された。


分割された肉塊は研究所へと運び込まれ現在調査中。


そして、謎の小動物かと思われていた毛玉だが、その正体は研究所に到着してから判明した。

毛玉は、毛の長い猫だった。

猫が未知の生物に見えていたのは能力が原因となっていたのだ。

エネルギーの放出時、体毛が逆立つ現象が起こるらしく、それによって毛玉と認識されていた。

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