9366号ファイル 謎の人型生命体

ある大学の教授たちが約一ヶ月間の発掘の結果掘り当てたのが、この人型の生命体だ。


発掘されたと同時に強烈な光が周囲を明るく照らした。これが大きな騒ぎとなり、我々に調査依頼が出された。

あまりにも急だったのに加えて事前情報が全く無く、派遣されたのは大勢の研究員だけでなく戦闘部隊——そして三人の超能力者までも同行する事になったのは前例がない。


発光物体の調査及び回収程度の事だと考えていたが、発見された対象は人型物体だとは誰も想像していなかった。

この人型物体が埋められたのは、約千年前だと推測される。それほど前の物なのにもかかわらず、汚れも劣化も無い。

機器でのスキャンを試みたが、エラーが発生し測定調査は不可能。唯一観測されたのは、微弱なエネルギー反応。

これが観測されたことにより、対象が生命体である可能性が浮上した。


しかし機器を使用した調査は不可能と判断され回収し研究所へと輸送。

これ以上の調査は、研究所の変異物や変異生命体超能力者の能力を使っての調査が望まれた。

だが、どのアプローチも失敗に終わり、調査の手掛かりはエネルギー反応だけとなった。


この人型物体から観測エネルギー反応は微弱で、観測された時間はごくわずかだったため、これ以上調査の調査に進展は無いと思われていた。


エネルギーについては、宇宙から極まれに僅かに地球へと降り注ぐ謎に包まれたものである事が分かっているが、それ以外は全く分かっていない。


だが解析した際に判明したエネルギーの波形だけは、既に研究所内のデータベースに存在していた。

そのデータが記録されたのは今年の春ごろに行われた能力調査でだ。

そしてその対象は……9142号ファイルに記載されている紅葉茜。彼女から観測された波長が、今回の人型物体の発したエネルギーと非常によく似ていた。


このような類似点があることから、彼女と対象を接近させることにより何かが起こるのではないかと期待の元、実行に移された。


そしてその試みは我々が想定していた以上の結果を得ることができた。

現時点では彼女と人型物体との間で何があったのかは調べていないから分からない。だが恐らくは人型物体のエネルギーが彼女の能力に何らかの影響を及ぼしたと考えられる。この事は調査が進み次第、9142号ファイルへと追記する。


彼女は人型物体と会話をし、そして彼の言葉を一字一句私たちへと伝えられた。

その内容とは、半数以上もの研究所を破壊している人物を彼は知っている事。その犯人が近々ここに来ることと、我々の戦力では倒せない事。そして倒せるのは彼以外に居ない事。

語られた内容はとても短いものだったが、無視できない内容となっていた。


彼は他にも知っていたかもしれないが、聞いたら殺されるなんて言われたら流石にあきらめるしかない。直接彼の声が聴けるのなら考えるまでもなく聞くだろうが、あの子を介してしか聞くことができないのは少々不便に感じてしまう。


彼の言っている事が真実とは限らないが嘘だろうと本当だろうと、おそらくここは破壊され研究員は皆殺しになるだろう。彼が倒せると言うのなら、我々はそれを信じて任せるほかに方法は無いだろう。


これは後から分かった事なのだが現地での調査の時に、セブンの様子がおかしかったとの報告があったようだ。

セブンも謎が多いことから過去に遭遇した可能性もあるのかもしれない。

こちらも分かり次第、セブンのファイルへ追記する。

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