1210号ファイル 情報収集能力

1992年に変異物の大規模回収作戦が行われた際に回収されたのが、後に悪魔デビルと自称する超能力者だ。


彼は元から特殊だったのか、すでに能力に似たものを使えるようだった。

それは、ある種の瞑想状態に入った時に、この世のものではない何かが見えたと彼は言う。だが、その瞑想は何らかのダメージが発生するらしく、彼が最初に瞑想状態に入った際は激しい頭痛が襲ったようだ。

これ以降彼は瞑想状態に入る行動を一切止めた。どうやら生命の危機を感じたからだそうだ。


おそらく、この世のものではないと言うのは——それはきっと高次元の領域なのかもしれない。だからこそ、その領域へアクセスした際に代償が伴うのだと考えられる。


それに加えて今回の回収作戦時には、すでに別の能力に目覚めていた。回収時に調査したところ、やはり欠片と同じエネルギー反応が観測された。

そして彼が欠片の影響によって得た能力は、自身に怪我を負った場合にその怪我を別の誰かに肩代わりさせられるようだ。


この真偽を確かめるための実験が行われた。

針を指に軽く刺した場合、他人の指から出血が起きるのかどうか。

結果から言うと、実験は成功した。彼は人差し指に針を刺したが傷が見当たらず、実験に立ち会った一人の研究者の人差し指から出血が確認。

刺した傷跡と針の大きさも一致し、彼の能力が本物だと証明された。


話は変わるが、研究所うちには研究員を装って入所してくる外部からのスパイが少なからずいる。ここの情報を外部への漏洩は固く禁じられている。

そのためスパイを拘束した後は隔離処置がとられる。その後の対処は主に三つに分かれていて、そのまま釈放するか機密に関する記憶を処理してから釈放。そして長く研究所員として働いていた場合は処刑されることになっているが、今のところ処刑された者は出ていない。


次の実験は瞑想状態に入り高次元領域へのアクセスをした場合、発生するダメージを他人へ移せるかどうか。そしてその先に何があるのか。


実験には拘束したスパイを同席させ、彼は瞑想状態に入った。

すると頭が割れるように痛いと言ってからすぐにスパイは死亡。その後の解剖によると脳の情報処理が限界に達した結果、絶命に至ったと見解を出している。

そして高次元領域へのアクセス結果は良いと言ってもいいだろう。


彼はスパイを身代わりに、高次元領域へのアクセスに成功した。そこで彼が見たのは強烈な白い光だと言う。他にも見た気がすると言ってはいたが、光が眩しく詳しくは分からないらしい。


これ以降も実験は続けられ、現在ではこの高次元領域へのアクセスをすることで、能力の解析が可能となっている。

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