(オジサン+デブ)×女子高生=恋?

羽弦トリス

第1話喫茶店モフモフ

その日は残暑がキツかった。ガスバーナーの飛び込み営業の途中、小湊こみなとは、いつもの喫茶店モフモフへ入った。

冷房が効いていて、彼はアイスコーヒーと、パフェを注文した。

そして、バッグから書類を取り出し、これからの訪問先を確認していた。

店員がお冷やと冷たいおしぼりを運んできた。


「レナちゃん、モテ過ぎ。また、バスケ部の田島君からの誘いを断ったでしょ?」

「わたし、これでも男は選びます。チャラいヤツはお断り。景子ちゃん達はどうなの?」

レナはカフェオレをストローで口に含んだ。

「実は、高校卒業したら、同棲するの。わたしと隆は高卒で働くから」

「えぇ~、そうなの?いいなぁ~」

「ねぇねぇ、向こうの太ったオジサン見てよ!」

レナは振り向いた。

小湊は冷たいおしぼりで手を拭き、顔を拭き、首回りを拭いていた。

「うわぁ、なんでオジサンって、おしぼりで顔拭くのかなぁ。隆にはそうなってもらいたくないな」

「……」

「レナ?」

「……」

「どうしたの?」

レナはハッと気付き、

「あのオジサンって、素敵じゃない?」

「アハハ、単なるデブのオジサンだよ?しかも、大人なのにパフェ食べてる」

「大人がパフェ食べちゃいけないの?」

「……それは、自由だけど。ちょっと、レナ暑さで頭がマヒしてるんじゃないの?」

「あのオジサン、明日も来るかな」

「ハァー、レナってホント変わり者だよね」


小湊はパフェを食べながら、こめかみを押さえた。アイスクリーム頭痛がしているのだ。

さっきから、高校生がこっちを見てやがる。

お前らの、親とほぼ同じ年齢だぞ!

ここのパフェ美味しいなぁ、明日も寄ろっと。

小湊は、口の周りにクリームを付けまくりながらパフェと格闘している。

15分で完食し、アイスコーヒーをがぶ飲みして、おしぼりで口周りを拭くと席を立った。

あの、女子高生の片方は美人だったな。彼氏が何人もいるのだろう。

ま、僕は女は懲りごりだ。

小湊は半年前に3ヶ月付き合った女と別れたばかり。

女は金目当てであった。散々、ブランド品を買わされて別れた。

直ぐに、女に利用されたんだと理解した。

ま、女子高生との恋愛なんてマンガの世界だけだ。

後、2社回ったら直帰しよう。


これが、2人の出会いの日であった。

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