#11
「武装集団に、誘拐……?」
「あぁ。もうじき停電が起き、ブザーが鳴る。それが合図だよ」
困惑する間もなく、俺の視界は闇に包まれた。研究室内の照明がすべて落ち、どこからか騒々しいビープ音が響き渡る!
「待て、まだ話は終わって……」
「すまない、時間が来たようだ!」
異臭がする。昔嗅いだことのある匂いだ。俺は咄嗟に姿勢を低くし、周囲の空気を吸わないよう丁寧に頭陀袋を脱ぐ。催涙ガスだ。
俺は感覚を頼りにソファに近づくと、眠っているロイに頭陀袋を被せる。これで数分は時間が稼げるかもしれない。その間に、状況に対処する。
「
「
非常電源の薄灯の中で催涙ガスの白煙に浮かぶシルエットは、ガスマスクをつけた3人組だ。指示を出した1人は流線型のフルフェイスヘルムを装着し、残り2人はアサルトライフルで武装している。薄目で見えるガスマスクの色は、赤。暗殺教団
アサルトライフルを構えた二人がセルジオを拘束し、俺たちが入ってきた場所とは逆方向の出入り口へ運ぼうとする。セルジオは抵抗することなく、むしろ満足げに指示に従っている。
考えるより先に身体が動いていた。俺は背後から片割れを急襲すると、テイクダウンで沈黙させる。即座にもう一人がアサルトライフルを発砲、逸れた弾丸が培養槽を砕く!
「やめろ、撃つな! ワタシの子どもたちだ、大切に扱え!」
「
フルフェイスヘルムの男が俺の前に立ち塞がり、もう一人がセルジオを連れて走る。その背中を追おうとした瞬間、俺の腕に激痛が走る!
「
「……わかる言葉で話せよ」
男はナイフを逆手で構え、静かに呟く。
「……殺すぞ、仇」
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