第19話

私は主治医が私に気があるという考えを捨てることにした。考えていると気が変になりそうだった。もし診察室でそういうそぶりを見せられたら、転院するしかない。彼についていけそうにない。彼は私について何もかも知っていて遊んでいるようにも見えたし、彼自身が身バレを気にするあまり、私のことが気になっているようにも、どちらにも思えた。しかし、私はもう考えるのをやめようと思ったが、スマホは異様な吸引力を持って私に迫る。

すごいスピードで日々が過ぎていった。通院日になった。主治医は臨時で休診だった。だから同じ県立病院の、別の医師が出てきて、カルテをめくりながら、問診があって処方箋をもらった。彼は急に病気にでもなったのだろうか、それとも私に顔をあわせたくなかったのだろうか、でも毎回予約を入れないのに、私がやってこなかったらどうするつもりだったのだろう?

何度も、元夫に電話をするがつながらない。彼は生きているのか、今何をしているのかも定かでない。二人に共通の知人は無いし、彼の職場は在宅勤務中心を今でも続けているような、職員の口ぶりだった。過去にはこんなことはなかったのに、彼が行方不明になっているのもありえない話だった。どうして一度になにもかもがこう変になっていくのか?

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