よろしくおねがいします
「じゃあはじめましてだと思うから、一人ずつ自己紹介していってくだーさい。名前と出身地と、好きな物、事。または入る予定の部活でもいいぞー」
教壇に立つ先生の言葉で、クラス内の空気が一瞬揺らいだ。
何を言えば、新しいクラスに早くとけ込めるだろう。どう言えば、「変な人」という印象を持たれないだろう。緊張でうまく働かない脳を巡らせ、必死に考える。
「じゃあ、
「はーい」
ガタッ。
大きな音を立てて、隣の席の子が立ち上がった。あやっべ、とその子は呟いて、クラス全体を見渡すように体の向きを変える。
「…えーっと。
最後に小さく礼をして、
パラパラと小さな拍手が教室の各地で起こる。
その後も、藍染さんの自己紹介を真似する形で自己紹介は続いていった。
「はい、次は
「はい」
最初の一列が終わり、二列目の先頭、僕の順番が来る。
大きな音を立てないようにゆっくりと立ち上がり、椅子を引いて、
ギィィ…。
思い切り、音が鳴ってしまった。
あ、やば。小さく呟いて、何事もなかったかのように振り返る。クラス全体を見渡せるように。
あれ、僕なんて言おうとしてたっけ。やばい、今の椅子で話題を忘れてしまった。どうしよう、このままじゃ変な間が空いてしまうし、緊張しているのはばれたくない。
…よし、アドリブで行こう。
「
全て言い終えて、すぐに席についた。他の人同様、小さな拍手が起こる。
噛んでない。僕、噛んでない。変なことも言ってないよね。よし、頑張った。
ホッと息を吐き、後の人達の自己紹介を聞く。中にはあだ名の事を言っていたり、「甲子園に連れて行く!」と言っている人もいた。
全員の自己紹介が終わり、最後に担任、副担任の先生が自己紹介をする。
「わたしは
「ハイ、皆サン。ワタシは
そして、僕の高校生活が始まった。
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