宝石オパールは語る_8 ~ピエロが一番~

色石ひかる

第1話 問題編

 私は倉木くらき彩香あやか、20歳の女性。ルースコレクター初心者の社会人。ルースは宝石の石単体で裸石ともよばれている。中でもオパールが大好きだった。


 宝石や鉱物を販売するミネラルショーにきた。最初にオーストラリア産オパール専門店へよった。店主の川畑かわばた芽衣子めいこさんを見かけた。20代後半のお姉さんだった。


「彩香ちゃん、今回も来てくれてうれしいです。思う存分ルースをみてください」

「すてきなルースとの出会いが楽しみよ。気になるところがあれば質問するね」

 展示されている手前のルースから眺めた。今日もオパールを堪能できる。


 ガラスケースにはブラックオパールやボルダーオパールなど、ほとんどがオーストラリア産のオパールだった。メキシコ産オパールと書かれているルースケースも、いつくか見受けられた。


 最初はブラックオパールのルースを眺めた。色とりどりのルースが私の目をいやしてくれた。ガラスケースの上段中央には、豪華なルースケースがおいてある。

「レアルースみたいだけれど、あまりにも場違いな値段ね」


 ラベルには目立つようにレアルースと書かれていて、1カラットで300万円以上と高額だった。大きさは10mmにも満たない楕円形状で、色とりどりの花が咲き乱れている印象を受けた。


 上半身を動かして、ルースをいろいろな方向から眺めた。どの位置からでも色鮮やかな発色が目に飛び込んでくる。

「芽衣子さん、このルースを直接見ることは可能?」

 高額ルースケースを指さしながら、おそるおそる聞いた。


「大丈夫です。今から取り出します」

 芽衣子さんはルースケースを取り出して、トレイの上にルースをおいた。直接ルースをみると、いままで以上にかがやきのすごさを感じる。


 赤色や青色、緑色から黄色までが領地のように分かれていて、それぞれの色が協調しながらかがやいていた。ルースを裏返すと、表とは対照的に真っ黒な闇夜を思い出す色合いだった。ルースの面を元に戻した。


 高額品なルースなのは私でも理解できた。でもなにがレアルースかはルースを見ても分からない。


「ずっと見ていられるほどきれいなルースね。1本1本が異なる色の花束を見ているような感じで、かがやきもすごい」

「気に入ってくれてよかったです。なかなか買える値段ではないですが、ぞんぶんにルースを楽しんでください」


「これだけきれいなルースを眺められて、今日来た甲斐があった。でもレアルースと書かれている意味が分からない。どのようにめずらしいルースか知りたい」

 芽衣子さんの発言をまった。

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