第28話 終わり
歪んだ空間が元に戻った。
「よし、あの『封印』の女が出てくる時くらいに戻ったよ」
確かに赤髪の少女の姿がない。
「じゃあ、動かすよ」
テュフォンが手を叩く。すると周りのものが動きだす。
「…お前のその自信はその加護から来てい…うおっ‼誰だお前いつ現れた」
動き出したローファが吾輩の隣にいたテュフォンを見て驚く。
「あぁ、私の事は気にしないでください。どうせ、誰も覚えれないので」
と笑顔なテュフォン。少し言葉に引っかかりを感じるが、今は気にせずにいよう。
「…まぁ、少し計算通りではないが、良いだろう。どうせお前らは、俺の最終兵器で苦しむんだからな。さぁ、こい‼」
「はい、この人ですよね」
コロンと転がされる赤い髪の少女
「…はっ?」
「だから、この人が最終兵器でしょ?」
「うう…」
赤い髪の少女がうめき声を出す。時間を止めてボコボコにしたんだろうな。
「だって…」
そして、空気が変わる。
「その小汚い手でお父さんに触れるんだもんね。まぁ、死んじゃっても仕方ないよね。うん」
恐ろしい殺気とテュフォンの笑顔により怖さが引き立っている。
「でも、これで終わりだなんて思わないでね」
「う…」
赤い髪を引っ張りながら
「今から貴方を違う世界線に送ってあげます。そうですね。…これがいいかな。今から貴方が送られるのはお父さんに助けてもらえなかった世界線だね。ちょっと奴隷になるけど、お前はそれぐらいの扱いを受けて問題ないよね。だって、私の大好きなお父さんに触れて、人生を狂わせたんだからね」
恐ろしいほどの早口、より一層怖いな。
「じゃあね」
というと赤い髪の女の姿が消えた。そして、
「ちぇ、時間切れか」
と次はテュフォンの姿が薄くなっていた。時間切れ、強制的に元の時間に戻されるのか。
「じゃあ、頑張ってね。お父さん、あんな奴に負けないでね」
そして、姿が…。
「…あれ?何か…」
さっきまで何かいたはず、そしてさっきまで何かと話していたはず…吾輩は今何と話していたんだ?
「おい、何よそ見をしてんだ」
と殴り飛ばされる。あぁ、そうだった。吾輩は今、ローファと戦っていたのだったな。吾輩はローファに向きなおし、戦いに戻った。
一時間後
「はぁ…はぁ。くそっ、埒があかねえ。殴っても殴ってもすぐに再生しやがる。それに対し、俺は体力を消化しまくってる。こんなおかしなことがあってもいいのかよ」
「じゃあ、終わりにするか。…確かお前は100パーセントの力が出せるんだったよな。じゃあ、俺はそれを超えてやる」
あくまで『鬼神』が出せる100パーセントは人間が出せる最高出力。吾輩が今から出すのは人間では出すことが出来ない出力。
全身に力を込め一気にローファに近づく、吾輩の足が折れた音がしたが問題ないどうせ一瞬で治る。
「な…に」
そして、思いっきり腕を振りぬいた。
ローファが壁をぶち破り飛んでいく。吾輩の腕は骨がむき出しになっていた。しかし、これも一瞬で治る。
「ふー、よし。帰るか」
明後日
「おはよう、アリアンテ君。聞いてよ、まだ筋肉痛が治らなくてさ…」
あれから女王を医者の元に連れて行き…一命をとりとめた。そして、色々と話した後学園に戻って来たのだ。ローファは捕まえられウサギ女はローファのすぐそばに居たいという事で一緒に捕まえられているそうだ。すぐに逃げられそうだがな。
「でね。眼鏡君がひどいんだよ」
楽しそうに話すメイ、本当に毎日が楽しそうだ。最近気が付いたことなのだが…何といえばいいのだろうか。そうだな…メイを見ていると、少し前まで死にたいと思っている自分の考えが馬鹿らしく感じると言えばいいか。
「でね…ってアリアンテ君聞いてるの?」
「あぁ。もちろんだ」
まだ、生きていよう。この先、楽しい事がいっぱいあるだろうしな。
この物語は『超回復』と『不老不死』を持った男の死ぬ為の…いや、楽しい人生を求める学園生活である。
~完~
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