眠りの作法

橙 suzukake

第1話 包まれたいのです

 



 私は、それが、ベッドでも敷布団でも構わない。

 さすがに、薄いせんべい布団じゃ嫌だけど、それなりにクッションがあるのなら文句は言わないし、それ以上のこだわりはない。脚が延ばせるのならソファでも構ないくらいだ。 


 しかし、掛布団については、少々のこだわりを持っている。

 今は、冬季だが、私の掛布団は3種類だ。

 肌に近い順で、①タオルケット→②毛布→③冬布団で、その順番や枚数は一般的であると思っている。

 冬布団の綿わたは、羽毛なのか化学繊維なのか、それとも、綿なのか、特にこだわりはない。子どもの頃は、重たい冬布団を掛けていたから、羽毛布団のように軽いと不安を感じたりもするが、まあ、どっちゃでもよろしい。

「毛布は、実は、一番上にすると温かい」と小耳にはさんだことはあるが、試そうと思ったことはない。

「冬でもタオルケットなの??」と怪訝な顔をされる方もいらっしゃるかもしれないが、それについては、また、後でお話したい。


 私の基本の寝方は、仰向けだ。いたって、一般的に違いない。しかし、ここからが一般的でなくなる。

 私は、寝床で気を付けの姿勢をとったまま、中途半端に寝返りを打つように左右に体を何度か傾ける。すると、タオルケットとその上の毛布が体に巻き付いて、わかりやすい表現だと思うが、“ミイラ”みたいになる。寝袋でいうと、マミータイプだ。一番上の冬布団は無理して巻き付けなくてそのままでよろしい。


 このように掛布団に包まれると、安心して穏やかな眠りに就くための第一段階が完了したことになる。





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