第二章 歩みだし
レベル上げ
第5話 ある男の決意
「王様、私たちはレベル上げのためにダンジョンへ行きたいのですが、許可していただけますでしょうか。」
俺は王様に『交渉』と念じながら言った
王様の頭の上には
『交渉進捗度 100% 交渉成功率 100%(100%)』
と出ている、交渉成功率が100%になったら交渉が確実に成功し、交渉進捗度のほうは成功率をその要求に対する最高成功率までの進捗らしい。
ちなみに最高成功率は( )の中の数字だ。
「わかった、許可しよう」
王はあまり悩んだ様子もなくこたえた
「「ありがとうございます」」
俺とショウはもう一つの要求について述べる
「では、武器の支給をしていただきたいのですが」
『交渉進捗度 100% 交渉成功率 100%(100%)』
「あぁ、もちろんだ。」
「いつ頃からいけるでしょうか。」
「そうだな、武器の用意もあるがあさってからいけるだろう。教育官もつけてやるから明日は彼から基礎を教えてもらえばよい。」
「はい、ありがとうございます。」
「では、失礼します。」
王との交渉は案外あっさりと終った。王の方もレベル上げの方はもとから考えていたのだろう。
――――――――――――――
「あ~緊張した」
俺は今いつもの三人で俺の部屋にいる。帰ってきてからやっと落ち着くことができた。
城から帰ってきたときは、王の計画を一切知らないクラスメイトたちからどうだったか聞かれるわ、答えたら騒ぎ出して質問攻めにあったが、
まぁそこまで詳しいことは話していなかったのであまり答えられなかったのだが。
「二人ともおつかれ」
彩が俺らをねぎらうような言葉をかけてくれた。
「おう、まぁほとんどアオがやって、俺なにもしてないけど」
ショウはちょっと申し訳なさそうな顔をして、俺を見てきた
「俺的には、ショウが横にいてくれて頼もしかったけど。」
「おぉ、アオが珍しく気を遣ったこと言ってる」
彩は驚いた表情をしていた。
「なんでだよ!」
俺がツッコむとなんか懐かしく感じ、三人で笑った。
異世界に来てもこの関係は変わらないんだな、、、
「で、ここからどうするかだけど、アオなんかある?」
「うーん、やっぱ軍隊を相手にする可能性があるからね、できるだけ強くなっといたほうがいいだろうけど」
「そうだよなぁ」
昨日、衛兵を見たときのステータスはLv.8で俺のステータスの1.5倍であった。今日も王の間の衛兵を見てみたがLv.15で俺の1.8倍のステータスであった。
流石に俺たち(俺除く)が強いといっても大勢で来られたら相手しきれないわけで、、、
「これが一つの基準になると思うんだけど、衛兵のレベルを『鑑定』してみたんだけど、、」
そういって『鑑定』した内容を伝えた
「ステータスに差があるとはいえ、さすがにきついな。」
「あぁ」
THE戦闘職の二人はそんなことを言っていた、俺に関しては負けてるんだけど、、
三十分ほどたった頃
「じゃあ、貧民街の人たち仲間につければ?」
彩がふと思いついたかのようにいう。
「それいいかもな」
ショウもそれがいいと思っているようだ。だが
「俺はやめておいたほうがいいと思う。」
俺は反対だった、
「考えてもみろ、もし味方に付いたとしても密告されたりしたら俺らは何もできずに終わるかもしれないんだぞ。」
「そうだけど、、これしかなくない?それに差別をなくすことが目標だし」
確かにこれ以外の方法が思いつかない。
「まぁ、それしかないが、まず、どうやって味方につけるんだよ、そもそも俺らは貧民街へ入ったことすらないし、多分入らせてさえくれないぞ。」
俺はその方法で進めていこうとしたがどうしたらいいのか分からなかった
「まぁ、そこだよな。誰かが忍び込むか?」
ショウはそんなことを呟く。
「それなら適任がいるよ」
彩はなにかを思いついたのか、声を明るくして言う
「「え?」」
どういうことか分からず俺とショウはは首を傾ける。
「私ね、全員のステータスプレート見たんだけど、その中で影山君がね『隠密』っていうスキルを持ってて『暗殺者』って職業らしい」
影山か、、確かあいつはぱっと見、気弱陰キャだけど結構しっかりしてて、仕事とかはきっちりするタイプだった。
「だから、ちょっと影山君に説得してきてもらわない?」
「まぁ、本人次第だがな。」
俺たちに一本の細い道が見えてきた
―――――――――
「なぁ影山、ちょっといいか?」
俺は居間で一人外を見ていた
「いいけど、、どうしたの?蒼くん」
「ちょっと、ここでは話しにくいから、ちょっと俺の部屋に来てくれ」
「わ、わかった」
俺と影山で部屋に戻る
「アオ、連れてきてくれた?」
「おう、」
「あれ?三人でどうしたの?」
影山は驚いたような表情をしていた、それもそのはず、彼は俺たちの頼むような視線を一人で浴びているのだから。
「影山、来てくれてありがとう。」
ショウが軽く頭を下げる
「ど、どういたしまして?」
影山は違和感を感じたような声で返事をした
「じゃあ、早速本題に入るが、実は王様は俺らのことを操ろうとしている・・・・」
そうして俺らは彼に一部始終を説明した。彼は彩以上に驚いていた。
「で、僕に貧民街のトップを説得して、味方にしてきてほしいということだよね?」
「あぁ、悪いがお前に頼むしかないんだよ、、」
影山は少し顔を床に向け、少し悩んで、少しすっきりしたような表情で
「僕、やるよ。今まで、翔風くんや蒼くんに助けてもらってばっかだったし、これで少しは返せるよね。」
「あれは別に俺らが勝手にやったことだから、、それだけが理由ならもう一回考えてくれ、あんなことのお返しというだけで命を懸けてもらうのは、、」
俺は申し訳なさそうに言った。
「いいや、僕はやる!僕だってこのまま操られるのは嫌だし。あと君たちにとっては『あんなこと』かもしれないけど、僕には『あんなこと』がなければ、今はもう生きていなかったと思うし」
彼の目からは今までにないぐらい光が放たれていた、決意は固いらしい。
「そうか、、ありがとう」
「あぁ、頼んだ。」
俺とショウ、彩は彼を信じることにした。
今回、俺は一切『交渉』を使用していない、彼の選択に影響を与えたくなかったから、彼の意志だけで決めてほしかったから。
だから今回の選択は彼自身が選んだことだ、、、
彼はやはり強い男だ
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