異世界の政治が気に入らないので国を乗っ取ります

薄明 黎

第一章 転生と覚悟

プロローグ 謎の光と異世界転生

 俺は浪打なみうちあお、普通の高校二年生だ。


 今日もいつも通り授業を受けている。結局将来何に使うのかわからないが、最近は一種の精神的な修行と思って割り切っている。

 

 4時間目の体育を何とか乗り越えて、昼休みの時間になる。

 やっとというのが正しいのだろうが、あっという間に半日過ぎていったという感覚も一緒にこみ上げてくる。

 毎日の生活は楽しいが退屈に感じている自分もいる。


 俺は一つのことに夢中になっている時間が一番好きだ、他のことは置いといて、夢中になる。その時は


 親友曰いわく、その時の集中力はものすごいらしく、話しかけているのに何の反応もしないらしい。実際、肩をたたかれてやっと気づくことが多々あった。


 最近は前回ハマったことに小遣いを使いすぎてほとんどない、バイトしようと思っても校則で禁止されていてできそうにもない。

 

 親に小遣い交渉でもしようかなーと思っていたところで後ろから


「アオ、飯行こうぜ。」


 中学校以来の親友である夏海なつうみ翔風しょうふうが俺を呼んだ。


「おう、行くか。」


 俺はそれに応え、教室を出た。


 ―――――――


「今日は何食おうかな~。おっ、新メニューできたんだ。」

 

 食堂前の掲示板にいかにもカロリー爆高であろう『揚げ物ミックス丼』と書かれたプリントが貼ってあった。


「俺は、いつも通りかつ丼にしようかな。」


「アオはブレねぇな。じゃあ、俺は新メニューにするわ。」


 そういいながら食堂へ入っていった。


――――――――――


「「ごちそうさまでした」」

 そういってトレイを返却口に置き、食堂を出る。


 食事中、俺はショウと話しながら次は料理でもやってみるかなーと考えていた。


「そういえば、アオ、最近はなんかやってんの?」


「いや~、小遣いが足りなくて、それどころじゃない。」


「そうか。」


 そう言って教室に戻っていった。



 五時間目も中盤に差し掛かってきたころ俺は寝ないように必死に耐えていた。

 もう教室内の空気自体が眠かった。


 そんな時だった、床に謎の魔法陣のような光が広がり、まぶしくて思わず目を閉じる、次に目を開けた時には見慣れない石の壁と甲冑が見えて


「ここどこだ?」


 夢でも見てるのかと思ったので、自分で自分の頬を引っぱたくが、普通に痛かった。


 俺がそんなことしている間に周りはざわざわし始めた、驚きすぎて気づかなかったが、クラスメイトも一緒にいるらしい。

 なんかオタクグループの一人が「異世界転生だ!」といったときにはみんなが『え!?』みたいな表情をしていた。

 


 少し落ち着きを取り戻したところで、甲冑共に連れられて部屋の外へ出た。


 どうやら城の中に居るらしい、豪華を極めたような廊下を進み、ある一部屋の大きな扉の前で甲冑は止まって俺らに入るようにいった。


「とりあえず、入るか。」


 ショウが言うと、みんなうなずく、


 甲冑が重そうな扉を押した。



 


 

 

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