第14話 異様な群れ

ステム湖の近くまで来ると、沼地になっていた。

マングローブと呼ばれる木に近い物が大量に生えており、足元はぬかるでいる。

『ここがステム湿原か歩きにくいな』

足場のが悪いな。

『そうですね。ステム湖の南側囲む沼地帯です。俺は大丈夫ですけど、2人は厳しいでしょうから、アピオス、お願いしますね。』


というとアピオスさんは

『"フロート"』

と唱えると俺とアピオスさんがわずかに浮き上がった。

『おおーこれなら歩きやすいです。ありがとうございます!』

足が非常に軽くなり沼に足を取られなくなった。

『歩く時はいつもと感覚が違うので注意して下さいね。』

とアピオスさんが慎重に歩きながら進む。

『分かりました』

アピオスさんと同じ様に慎重に歩き始めると

前でヘクスは普通に歩いて進んでいる。

『ほ、本当に普通に歩いてるのか。』

『彼は特別ですから。』

え、どうやってんだ??

なんて考えていると、先を行くヘクスが何かを見つけた。

『いました。さてと、やりますかね。…いやアレは何かおかしいですね…』

と空を見上げて言った。

空を見てみると、巨大な青銅剣鳥の群れが少し上にいる事がわかった。

群れの様子がおかしい。

青いが禍々しいオーラの様なモノを纏っている。

アピオスさんは額に汗を流しながら

『つ、通常あのモンスターは青い体と銅の様なクチバシや爪をもっています。群れのボス個体は群れの規模に比例して発達しています。

今回は1000匹規模なので、それなりに強力な個体になりますが…』

と群れを見ながら言った。


『アレはそれどころじゃ無いです。明らかに異常な発達をしている。』

ヘクスが指差したボス個体と思われる青銅剣鳥には

鋭く尖ったクチバシにはギザギザとした刃が生え、翼は赤紫に変色し、爪は鉤爪のような形に澱んだ紫色の血管の様なモノが脈を打っている。

そしてこちらに血走った目を向けるとともに

グギャガー!!!!!!

と空気が震える程の絶叫をあげた。

すると群れが一斉に襲いかかってきた!

『ちっ!!俺が迎撃します。』

ヘクスは素早く弓を構え、闘気を纏った。

ヒュゴ!!!!

矢を放つと、凄まじい風切り音とともに群れに丸く空白が生まれた。

『な、なんだアレ!?!?』

矢を放った瞬間に群れの一部が消し飛んだ!?

しかし、すぐに空白は埋まり、羽を弾丸の様に飛ばしてきた。

ドドドド!!

『タカシさん!私から離れないで下さい。"防弾壁"』

アピオスさんが前に立ちスキルで自身とタカシを覆うようにドーム上の結界を張って防いだ。

ヘクスは棍棒を回転させ全て弾いているが、数が多く、その場に繋ぎ止められている。

更に、ボス個体が魔法を起動させている。

"ギャァァァァァァァァァ"!!!

凄まじい絶叫と共に黒緑の波動が打ち出された。

『あれは…"コンフューズ"だ!精神防壁を!!』

ヘクスは自身に闘気を纏わせ身を守りながら叫ぶ。

アピオスさんは結界の上にさらに結界を重ねた。

ヘクスは弓を構え直すと体から闘気が溢れ出し、矢に纏い始めた。

周囲の空間が歪む程の莫大な気が矢に込められている。

焦りから腕が震えていた。

闘気を武器に纏わせるのは基本に闘気錬成が可能ならば誰でも出来るが、空間が歪むほどの密度で気を纏わせる事は難しい。

闘気の纏わせる密度に比例して難易度が上がる。

威力が高まる反面、制御が難しくなるからだ。

『"闘気集中"、"不動静心"発動。』


ヘクスがスキルを使った。

溢れ出した闘気が瞬く間にまとまり、腕の震えが止まった。

『そこか…』

ドキュン!!


と呟く来ながら放たれた矢はありえない音を出しながら群れを貫きボス個体を貫いた。

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