国が滅んだので、媚びて生きていこうとしたら奴隷になってました…
オスマ
1章 王国首都
第1話 国滅んだわ…
とある国が滅んだ。
超大国だった。
最悪最強の国王が死んだらあっさり崩壊していった。
世界征服して、いろんな国を飲み込んで、好き放題やった。
略奪して凌辱して破壊の限りを尽くした。
重税を課し、国民も奴隷の様に扱った。
国民の5割は侵略した先の民だった。
自国の民ですらも下級貴族以下はみんな似たような酷い扱いを受けた。
そんな事をしていれば、当然外からも中からも恨まれていた。
しかし、世界最強で最悪の王が君臨していたから好き放題やっていた。
その王が死んだ。
突然だった。
そして計ったかの様に各地で反乱が起き、他の6大超国の連合からなる精鋭たちによる総攻撃によりあっさり崩壊していった。
ここはそんな戦場の中で、俺が見た特に異次元と言える光景があった。
数万の軍勢の前に音もなく現れた黒い者は
音もなく数万の軍勢が両断した。
世界最強の軍隊といわれたうちの約3割が1人に切り払われたのだ。
その国が世界を震え上がらせていた怪物の前に白い者が現れた。
そして
ズガガァァァーン!!!
轟音と共にその巨体は爆ぜ消えた。
太陽の如き輝きを放つ者はその国最高の砦を攻めようとしている軍の後方に現れた。
パァァァァ…と天からの祝福と見違えるほど美しい光が戦場を照らした。
そして、光が彼らに降り注ぐと、軍勢は瞬く間に砦を攻め落とした。
こんな光景を見たら、もうダメだと悟った。
勝てるわけが無いと。
そもそも、世界全部を敵に回して勝つ気でいた上の連中は頭がおかしい。
たしかに、王は圧倒的だった。
生きていれば、世界の全て敵に回しても勝てそうな異次元の強さはあったのではと聞いていた。
だから戦争を始めたらしいが、王が早々に死んだという。
俺たちの目の前で王の居城は文字通り弾け飛んだ。
上の連中も慌てたようだが、どうにもならないようだった。
そして…敗北が決まった。
その後は酷いものだった。
積年の怨みを晴らす様にされた事をそのまま仕返していた。
それにより王の下で好き放題やっていた者たちは惨たらしく殺された。
カミヤ・タカシはそんな国の下級貴族の長男だった。
下級貴族は平民のまとめ役の中間管理職といったところだ。
なので、生活レベルはほぼ変わらないと言っても良かった。
高過ぎる税と厳し過ぎる監視によりとてつもない重圧がかけられていた。
そんな事をしてたので、中堅貴族以上が国と共に滅んだ。
というか、国自体が滅んでいるので、身分なんぞ意味は無いだろう。
この国の貴族の悪行は全世界に知れ渡っているし、位の違いなんて物は関係ない。
そもそも、決起したのは平民達でその後押しを他国がすることにより、この事件が起きた。
崩御の知らせを受けた時に俺たちは迷わず反乱軍に味方した。
そんなことがあったなら、迷わず勝ってる方につく。
連合軍も投降してきた者をいきなり処刑をせずに、身元を調べて、過去の行いを調べた上で処遇を決めていた。
そんな中、当主であった親父は
『いいか?強いやつに媚びて、弱い奴には恩をうれ。勝てる方につける立ち回りをするんだ。』
親父はもともと、王や中堅以上の貴族達のやり方は嫌いだった。
そこで、戦争が起きる前に領民達に善政をしく事で恩をうり、周辺国の中で高い国力を持つ国に、自分の領地の情報や王都の情報を流し、自分たちが寝返りやすくしていた。
ただ、王の力が絶大だったことを知っていたので王都の情報は場所の事や政策の事だけだった。
王都の戦力や戦争時における防衛策などは流せなかった。だが、情報を流していた事は事実だった。
こういうスパイのような事をしていれば、どこからも信用はされなくなってしまう。
あまり良くないやり方だったのかもしれない。
なので、俺は土下座で頼んでいた。
滅んだ後に自分で生きていく必要があった。
『お願いします!雑用でも何でもします!
死にたく無いんです!』
とデカい商業施設のマッチョに頼んでいた。
すると、マッチョは
『君は…とりあえず色んなところでバイトしようか。普通奴隷と同じ様な立場にしとくぞい。』
そして、能力を測ってもらった所、
『お前は戦う力は平凡だけど、作ったり直したりは上手いな。』
と手伝っている店の人たちに言われる様になった。
そして半年が過ぎた。
鍛冶屋の親方、調合室の老婆、調理施設の料理長、図書館の司書からそれなりに評価をされる様になった。
また、店を手伝う中でいろんな人達に出会った。
赤銅髪の少年、金髪の王族、土小人の戦士、豚人族の料理人、アマゾネスの闘士などなど。
誰も彼もクセの強い連中だった。
月2回の奴隷競売にて同期はほぼ全員買われた。
蜥蜴人のマイク、豚人のケビン、アマゾネスのジュリア、エルフのリーフ、ドワーフのドンタなどなど。
あいつら強かったし、種族的に有利なポイントがあるし。
『位階2だとキツイよな…』
位階とは生物としての段階で位階が上がる事はより上位の存在になることである。
レベルはその位階の中での強さ
クラスは職業というところだ。
今の俺の能力
タカシ
種族 人族(推測)
位階 2
レベル40
クラス 錬金見習い、家政婦見習い
スキル
錬金の心得、家事、速読、並行処理、???
だ。
錬金は調合と鍛治の見習いを超えた事で発現した。
錬金・調合どちらも出来るとTANAKAは教えてくれた。
『うーん。武器スキルが1番の問題だぞい。』
(そ、そうなんですか…石か何かを掴んでおけ
と教わった。世の中何があるか分からないもな。
やはり、自分の身を守れる者や見た目でも選ばるのだろう。
なんて考えていると
『とりあえず、終わったぞい。』
と促され、おれはまたあの店にいることになったのだ。
(このタカシという男、特別な何かがあるんだぞい)
TANAKAは、数多の者を見てきた他、数多の戦場を駆け抜けた超人である。
そんな男の鑑定でも、種族が判定しなかったという。
意味がわからなかった。
同時に面白そうな男だとも感じた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます